携帯電話やタブレット端末に装着することで、クレジットカードや電子マネーが決済が可能になるモバイル決済。
今回は2024年時点における、主要モバイル決済サービス3つをわかりやすく比較してみました。
楽天ペイ、Square(スクエア)、AirPAY(エアペイ)のどれを店舗に導入しようか迷っている方は、是非、これらの情報を参考にしてもらえればなと思います。
主要モバイル決済比較 2024年版:
楽天ペイ、AirPAY、Squareを比較:
まず、主要3モバイル決済の特徴を比較しやすいように表にしておきます。
あくまで2024年1月現在の情報をまとめたものなので、今後、各社の仕様変更によって変化する可能性がある点はご注意ください。
比較項目 | 楽天ペイ | AirPAY | Square |
---|---|---|---|
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
本社 | 日本 | 日本 | アメリカ |
提供会社 | 楽天株式会社 | 株式会社リクルートライフスタイル | Square株式会社 |
アクワイアラ | 楽天カード | リクルートペイメント | 三井住友カード、JCB |
国際ブランド | Visaカード Mastercard JCBカード アメックス ダイナースクラブ ディスカバーカード |
Visaカード Mastercard JCBカード アメックス ダイナースクラブ ディスカバーカード |
Visaカード Mastercard JCBカード アメックス ダイナースクラブ ディスカバーカード |
国内の電子マネー | Suica等の交通系ICカード、iD、QUICPay、nanaco、WAON | Suica等の交通系ICカード、iD、QUICPay | Suica等の交通系ICカード、iD、QUICPay |
海外の電子マネー(NFC TypeA/B) | Visaカード、Mastercard、JCBカード、アメックス、ダイナースクラブ等のタッチ決済に対応 | Visaのタッチ決済、Mastercard®タッチ決済等に対応(ダイナースクラブは非対応) | Visaのタッチ決済、Mastercard®タッチ決済等に対応(ダイナースクラブは非対応) |
対応QRコード決済 | 楽天ペイ、WeChat Pay、JKOPAY、Alipay等 | PayPay、LINE Pay、Alipay、au Pay、d払い、WeChatペイ等 | PayPayのみ |
入金サイクル | 翌日振込(楽天銀行)。その他銀行は出金指示の翌営業日 | メガバンク指定で月6回、それ以外は月3回 | 最短翌営業日(みずほ銀行、三井住友銀行の場合)、その他の銀行は週1回 |
クレジットカードの加盟店手数料 | 3.24% | 3.24% | 3.25% |
国内電子マネーの加盟店手数料 | 3.24% | 3.24% | SuicaやQUICPayは3.25%、iDは3.75% |
入金手数料 | 楽天銀行なら無料 | 無料 | |
導入までにかかる日数 | 最短3日程度 | 通常、審査に3日程度 | 最短当日から利用可 |
初期費用 | ターミナルやカードリーダーの購入が必要 | キャンペーン経由で実質無料 | Squareリーダーやターミナルの購入が必要 |
月額費用 | 無料 | ||
サインでの支払い | 可能 | ||
暗証番号取引 | 可能 | Squareターミナルなら可能 | |
ワイヤレス接続 | 可能 | ||
端末の製造 | Miura Systems | 自社開発 | |
POSレジ | 自社アプリなし(他社アプリと連携) | 自社アプリのみ利用可 | 自社アプリあり(他社アプリも利用可) |
対応端末 | iPhone、iPad、Android | iPhone、iPad(Androidは非対応) | iPhone、iPad、Android |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
加盟店手数料は横並び:
上記表をご覧いただければわかりますが、楽天ペイ、Square、AirPAYともにクレジットカードの加盟店手数料はどこもほぼ横並び状態。
これは2014年頃からまったくの変化がないので比較するだけ無駄です(たぶん料率は下限に近い数字のはず)。
また、電子マネーも同様で、SuicaやiD等の決済手数料はほぼ同一。
つまりどのモバイル決済を選ぶべきか?という視点においては決済手数料の安さではなく、サービス内容でモバイル決済を選ぶ必要性があるってことですね。
- 間違い:手数料でモバイル決済業者を選ぶ
- 正解:手数料以外のサービス内容で業者を選ぶ
以降、3社のメリットやデメリットを詳しく解説していきますので、どれにするか迷ったらこれらの情報も参考にしてみてください。
Android端末で使えないAirPAY:
楽天ペイ、Square、AirPAYと3つのモバイル決済業者を比較する上で気をつけたいのは、AirPAYのみ、Android携帯やタブレットに対応していない点。
- 楽天ペイ:iOS、Android対応
- Square:iOS、Android対応
- AirPAY:iOSのみ対応
つまりお手持ちのスマホやタブレット端末がiPhoneやiPadであれば問題ありませんが、それ以外のスマホやタブレットしか持っていない方は、最初からAirPAYを除いた上で検討いただければなと思います。
楽天ペイ(旧名楽天スマートペイ):
日本国内で一番おすすめな楽天ペイ:
現在、日本で一番おすすめできるモバイル決済が楽天ペイ(旧名:楽天スマートペイ)です。
こちらはVisa、マスターカード、JCB、アメックス、ダイナースクラブといった主要なクレジットカード決済だけでなく、SuicaやPASMO、楽天Edy、nanaco、WAON、iD、QUICPayといった主要な電子マネー決済にも対応している点が強み。
「楽天Edy」や「Suica」「PASMO」などの多数の電子マネーブランド、
および「nanaco」「WAON」「Apple Pay」に対応します。
つまり楽天ペイ1台導入すれば、クレジットカード決済だけでなく電子マネー決済にもほぼほぼ対応可能ってこと。
Apple PayやGoogle Pay決済への対応も楽天ペイ端末があれば対応できるので、とにかく幅広く電子決済を導入したい店舗経営者の方におすすめです。
WAONに対応する唯一のモバイル決済:
あと、楽天ペイ端末を導入することで決済が可能になる電子マネーWAONは、他のモバイル決済端末では対応できない電子マネー。
- 楽天ペイ:WAON対応
- Square:非対応
- AirPAY:非対応
それゆえ、店舗近くにイオンモールがあるような場合には、楽天ペイ導入が最優先になることでしょう。店舗に落としてくれるお金が変わってきます。
楽天銀行口座があれば翌日入金:
楽天ペイが優れているのは対応クレカや電子マネーが多い点だけではありません。
楽天ペイ利用者が楽天銀行に口座を保有している場合には、土日や祝日を問わず翌日には入金してくれるのも大きなメリット。
- 通常の据え置き型カード決済:入金は2~4週間後が普通
- 楽天ペイ:入金は翌日(楽天口座を登録している場合)
特に資金繰りが厳しい中小企業経営者や個人商店主であればこの入金スピードの速さは魅力的でしょう。
資金繰りが悪化することがありません。
利用者が意外と多い楽天ペイのアプリ決済:
楽天ペイのQRコード決済(楽天ペイではアプリ決済と呼ぶ)は、楽天ポイントを貯めている方にとって魅力的な支払手段。
導入するだけで楽天ポイント保有者を集客できるので、楽天ペイを契約した際にはこちらもあわせて導入するようにしてください。それだけで売上アップが見込めます。
- QRコード決済導入:楽天ポイントを貯めてるお客さんが来店しやすくなる
あと、楽天ペイのQRコード決済を導入しておくと、夏祭りやコミケといったイベント出店の際にも非常に便利。
店先にQRコードを張り出しておけばチャリンチャリンとお金が入ってくるため、人件費の削減や釣り銭不足による機会損失を防ぐことができますよ(詳しくは公式サイトを参照)。
Square(スクエア):
導入スピードで考えるならSquare:
次にSquare(スクウェア)ですが、こちらはキャッシュレス決済導入までの速さがおすすめ。
下手すると申し込んだその日のうちにアカウント開設ができてしまうので、急ぎでクレジットカード加盟店になりたい店舗経営者には最善の選択肢になるはずです。
どれくらいで使えるようになりますか?
アカウント作成後、カード決済は最短で当日から利用できます。
追加資料の提出をお願いする場合もありますが、通常、審査期間として 3 営業日程いただいています。また、決済額の入金は銀行口座の認証完了後に開始されます。
カードリーダーは審査通過後に購入をすればムダに手間がかかることもありません(Square公式サイトよりリーダーは購入可能)。
入金サイクルがとにかく早い:
また、Squareは楽天ペイ同様、入金サイクルも早いです。
指定振込先がみずほ銀行や三井住友銀行などの場合には振込手数料無料で翌営業日には振込をしてくれるので、資金繰りに困りがちな中小企業経営者にとっては最適なモバイル決済だと言えます(翌日ではなく翌営業日である点に注意)。
- 楽天銀行の利用者:
Squareよりも楽天ペイのほうが入金が早い。 - 楽天銀行以外の利用者:
Squareのほうが振込手数料が無料な分だけおすすめ。しかも、みずほ銀行と三井住友銀行利用者なら翌営業日入金。
JCBには対応したものの電子マネー対応はやや限定的:
尚、従来、SquareではJCBカード決済ができないことがデメリットでしたが、こちらはすでに対応済み。
加えて2020年8月よりSuica、iD、QUICPayといった電子マネー決済にも対応したため、現在では楽天ペイと同じく総合的におすすめできる決済サービスになったと言えそうです(三井住友銀行やみずほ銀行に銀行口座をお持ちの方なら最有力)。
Squareの隠れたメリットは「格好いい」:
個人的にSquareの隠れたメリットだなぁ…と思うところは、モバイル決済機やロゴステッカー等がシンプルで格好いい点。
まぁ、こういっちゃアレなんですが、楽天ペイは楽天色が強く、ギラギラ感があるのがちょっと…ってところがあるので、そういった企業カラーでレジ周りを汚したくない、お洒落なカフェや小売店を経営している方にSquareは最適なのかもしれません。
- 楽天ペイ:企業カラーが強い
- Square:シンプルでデザイン性が高い
ちなみに、洗練されたカフェとして人気のブルーボトルコーヒーでも、Squareのモバイル決済を導入中。
こういったお店で実際に使われている事実は、同じような店作りをしたい経営者にとって魅力的に映るのではないでしょうか。
AirPay(エアペイ):
外国人観光客が多いお店におすすめ:
楽天PayやSquareと比べるとまだまだ知名度が低いのですが、リクルート系のAirPAYもおすすめのモバイル決済(公式サイトはこちら)。
こちらは楽天Pay同様にVisa、Mastercard、JCB、アメックス、ダイナースクラブといった主要なクレジットカード決済を網羅していることに加え、SuicaやPASMO等の電子マネー決済にも対応しているため、キャッシュレス決済を幅広く導入したい経営者の方に向いています。
- AirPAY対応のクレジットカード:
Visa、Mastercard、JCB、アメックス、ダイナース決済が可能 - AirPAY対応の電子マネー:
電子マネー:Suica、PASMO、ICOCA等の交通系ICカード、iD、QUICPayが可能
QRコード決済にも対応:
また、AirPAYは他のモバイル決済業者ではまだ未対応の、アリペイやウィチャットペイといった中国系のQRコード決済にも対応しているのが大きな魅力。
それゆえ、中国からの観光客が多く押し寄せる、都市部や観光地に立地しているお店であれば、率先してAirPAY導入がおすすめかもしれません。
中国のQR決済市場
特に中国ではQR決済は公共料金、交通、宿泊を始め様々な場面で使用されており、決済手段の主流になっています。
AlipayとWeChat Payがシェアの大部分を握っておりAirペイ QRではその両方をご利用いただけます。
店先にロゴステッカーを貼り出すだけで、集客力&売上アップが見込めます。
AirPAYのデメリットは?
反面、AirPAYのデメリットは入金サイクルが最大でも月6回な点。
楽天ペイやSquareが1~2日で入金してくれることを考えると、この点においてはやや見劣りがする感じですね。
- 三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行への振込:月6回
- その他の銀行への振込:月3回
- QRコード決済経由の売上入金:月1回
さらに申込から店舗への導入には1週間程度の時間を必要とする点も、急いでいる経営者の方にはやや不向き。
どうしても楽天を信用できないとか、アリペイやウィチャットペイ導入は欠かせない…という経営者なら、AirPAYがベストな選択肢になることでしょう。
AirPAYならTポイントやPonta導入も:
お店にクレジットカードや電子マネー決済を導入するついでにTポイントやPontaポイントも導入したい…という経営者にとっても、AirPAYは最適。
AirPAYポイントと呼ばれるサービスを利用すればTポイント、Ponta、WAONポイント、dポイントの4種類を導入可能なので、ポイントを集客のフックにしたい方は活用ください。
- Tポイント:導入可能
- Ponta:導入可能
- WAONポイント:導入可能
- dポイント:導入可能
来店ポイントを付けてみたり、期間限定でポイントを割増するような使い方も可能です。
その他のモバイル決済も紹介:
念のため、今回比較させていただいた楽天ペイ、Square、AirPAY以外のモバイル決済も紹介させてもらおうと思います。
STORES決済(旧:Coiney):
モバイル決済として知名度が高いSTORES決済(旧:Coiney)。
こちらもJCBカードやダイナースクラブカード決済に対応しているモバイル決済なため、幅広いクレジットカードに対応したい店舗経営者にはおすすめ…なんですが、STORES決済では入金サイクルが楽天ペイやSquareと比べると手間がかかる&遅いため、この点を考慮するとあまりおすすめが出来ません(手動による出金依頼をしないと入金サイクルは翌月20日頃となる)。
加えて10万円未満の出金を行うと手数料が必要になるなど、小規模なレストランや居酒屋にはやや費用負担が重めになる点もご注意いただければと思います。
STORES決済のメリットについて:
そんなSTORES決済にあって、他のモバイル決済にない強みとしては、STORES決済なら2回払いやリボ払いの選択が可能な点。
楽天ペイやSquareは決済すべてが自動的に1回払いになってしまうので、客単価が高い店舗を経営している場合や、リボ払いを使うお客さんが多い店舗などにはSTORES決済も選択肢に入ることでしょう。
ご検討ください。
PayPal Here(ペイパル・ヒア):
あと、米国のクレジットカード決済大手のPayPalがソフトバンクと組んで展開していたPayPal Here(ペイパル・ヒア)は残念ながら2016年2月1日でサービス終了。
PayPal Hereのご利用をご検討されている方へ
弊社では、クレジットカード業界全体のポリシー変更に伴うPayPal HereのICカード決済対応(EMV対応)について検討を続けてまいりました。
誠に残念ながら、弊社のICカード決済対応につきまして見送る運びとなりました。この結果、PayPal Hereのサービスの提供を終了させていただくことになりました。
背景としてはICカード決済の対応が難しかったから…というのがその理由のようですが、現実的にはモバイル決済サービス提供によって得られる収益が乏しかったことも大きかったように思います。
- 従来:
磁気ストライプを使った決済が主流だった(決済端末を安価に製造できたため、バラ撒きに適していた) - 現在:
ICチップを利用したEMV決済が主流になりつつある(決済端末の製造が高コストになりやすい)
要は「投資するだけの価値」がその時にはなかったのでしょう。
アメリカでは販売再開:
反面、アメリカやイギリスではPayPal Hereと類似したサービス「PayPal Zettle」が継続しているため、日本でもまたサービス提供される可能性はゼロではありません。
ネット決済や継続課金等と一緒に実店舗カード決済も導入したい事業者の方は、その再上陸に期待してもらえればなと思います。
Amazon Register(アマゾン・レジスター):
かのAmazonが米国で開始したモバイル決済が「Amazon Register(アマゾン・レジスター)」。
当初、決済手数料1.75%という破格の手数料を武器に、SquareやPayPal Hereの強力なライバルいなるかと思われていたこのサービスも、残念ながら2016年2月1日付けでサービス終了済み(引用元)。
近日、IPOを予定しているモバイル決済会社、スクエアにとってこれは良い報せかもしれない。アマゾンは10月30日、モバイル決済サービス「Amazon Register」を終了すると発表した。
Amazon Registerの立ち上げは約1年前。
スマートフォンやタブレットに価格10ドルのカードリーダーを接続し決済を行うこの仕組みは、小規模事業者向けの導入を期待していた。アマゾンの広報担当はメールで次のように述べた。
「2016年2月1日をもってサービスを中止する。アマゾンは定期的に自社サービスの見直しを行っている。その結果、Amazon Registerの停止を決定した」
わずか1年ちょっとでのサービス停止には驚きましたが、現在では米国Amazonに存在していた販売ページに下記記述を確認できる状態なため、今後もサービス再開の可能性は低いと思われます。
Currently unavailable.We don't know when or if this item will be back in stock.
(日本語訳)サービス停止中。いつ入荷するかわかりません。
Amazon Payも失速気味:
ついでにいうとAmazonの実店舗向けQRコード決済である『Amazon Pay(アマゾン・ペイ)』も、日本での普及は怪しい雲行きですね。
Amazon Payスマートフォン決済とは
Amazonショッピングアプリをお持ちのお客様であれば、特別な登録の必要はなく、QRコードを表示して店舗にある端末に読み込ませると、Amazonアカウントに登録されたクレジットカードで決済が行われ、支払いが完了します。
当初はAmazonアプリを使ってそのまま支払いができるため、LINE PayやPayPayと並ぶ存在になるのでは…という予測もありましたが、現在では新規加盟店の募集を行っていないようです(オンラインショップ向けのAmazon Payは継続募集中)。
モバイル決済を導入しよう:
ここまでモバイル決済(mPOS)の現状について解説をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
モバイル決済はiPhoneやAndroid携帯などのスマホ端末や、タブレットがあれば誰でも導入可能な決済方法なので、是非、店舗経営者の方はもちろんのこと、自宅で料理教室を開いているような方も導入を検討してみてください。
そうすればきっと、クレジットカードや電子マネー決済を導入することによる売上&客単価アップの恩恵を受けられるはずですよ。
以上、主要モバイル決済3つを徹底比較(2024年版)!楽天ペイ、Square、AirPAYのうち、どのmPOS業者を選ぶか迷っている店舗経営者に…という話題でした。
参考リンク:
世の中には一定数、クレジットカードや電子マネーが使えないとそのお店にはいかない…と判断する利用者層が存在します。
まぁお店そのものに魅力があれば現金払いのみでも来てくれるお客さんは多いのかもしれませんが、現時点で競合他店との差別化が出来ていないお店であればカード決済導入で売上があがる可能性あり。
詳しくは下記記事にまとめてあるので、気になる経営者はご覧いただければなと思います。