消費者金融やクレジットカード会社に借りたお金を返さないと、『おいっ、田中っ!部屋にいるのはわかってんだぞ。出てこい!』なんて柄シャツを来たパンチパーマのおじさんが家までやって来る。
…そう思っている方は未だに多いもの。
更にお金を返さないでいると、近所に『おとなりの田中さんは借金をしても返さない人です!』と言いふらされたり、自宅に「金返せ!」「人間失格!」とペンキで文字を書かれ、それでも返さないでいると『返済できないなら臓器を売れ!』なんて言われる。
取り立てに対して、そんな暴力的なイメージを持っている方って意外と多いのではないでしょうか?
お金の取り立ての実情について:
過剰な取り立てはすべて犯罪:
しかし、実際はどうなのか…というと、そういった暴力的な取り立て行為は法律でしっかりと規制されています。
まぁ冷静に考えてもらえればわかりますが、いくらお金を返せなくても暴力や器物破損が許されるはずもないので、ああいった取り立てはあくまでドラマや映画の中だけの話。
- 拉致:法律違反
- 監禁:法律違反
- 暴力:法律違反
- 脅迫:法律違反
- 住居侵入:法律違反
- 破壊行為:法律違反
- いたずら書き:法律違反
- 臓器売買:法律違反
- 保険金詐欺:法律違反
それゆえ、仮にそんな取り立てをされたら即、警察に相談すればなんら問題なし。お金を返す返さない関係なしに、危害を加えてきた相手は確実に逮捕されることでしょう。
取り立てにくるのはスーツ姿の男性:
それじゃカード会社や大手消費者金融による取り立てはどんなものなのか…というと、どこにでもいるようなスーツ&白シャツ姿のおじさんが『○○さん、早くお金を返してください!』と訪問してくる程度。
- イメージ:派手な服した暴力団風のおじさんが来る
- 現実:スーツ姿のおじさんがやってくる
しかもやってくるのは夜20時までの常識的な時間で、隣近所に『○○さんがお金を返済してくれないです!』と言いふらされることもなければ、不在でもドアにペンキで落書きをされることもありません。
下手すると取り立てすらやってこない場合のほうが多いくらいです。
取り立てにやってくるのはカタギの人間:
クレジットカード会社や大手消費者金融からお金を借りた場合、取り立てにやってくるのは十中八九、その会社の社員さんです(一部はサービサーと呼ばれる取り立て会社が代行して取りに来る)。
当然、その人は暴力団に所属している方ではないですし、いくら会社&上司の命令であっても違法行為をしたくないごくごく普通のサラリーマン。
- 間違い:
取り立ては暴力団などの怖い団体に属する人。警察にも平気で歯向かい、問答無用で暴力を振るう。 - 正解:
取り立てに来るのはあなたと同じただの社会人。違法行為をして逮捕されたくないので、暴力や器物破損はしない。
つまりみなさんと同じ「一般人」ってこと。その点もあわせてご安心いただければな…と思います。
過剰な取り立てがありえない3つの理由:
さらに安心してもらうべく、なぜ過剰なお金の取り立てができないのか、その理由を3つに分けて解説しておきます。
1.法令違反=業務停止になるため:
1つ目は前述のように器物破損や暴行は法令違反であること。
特に大手消費者金融やクレジットカード会社の場合には、こういった法令違反が金融庁にバレると業務停止命令を受けてしまうので、社員には徹底して違法な取り立てを禁止しています。
社員の服装にもうるさく、常に取り立ての際は白シャツ&スーツを義務付けてるところがほとんどです。
個別に違法な取り立てをする価値がない:
しかも、大手と呼ばれる消費者金融には、利用者が軽く100万人以上はいますからね。
1人のお客さんからお金を返してもらうためにその都度、違法行為をしていては経営が成り立つはずもありません(個別にお金を回収できなくても、全体的に儲かればそれで良いビジネスモデルってこと)。
2.違法な取り立ては企業イメージの悪化に繋がる:
2つ目は違法な取り立てがワイドショーや報道ニュースなどに取り上げられてしまうと、企業イメージが著しく悪化してしまうため。
中でもアコムやプロミスといった大手消費者金融はテレビCMを流し、ソフトで健全なイメージを広めているのに、怒号が飛び交うような取り立てが報道されてしまえば今まで費やした広告効果がゼロになるだけ。
このあたりは威圧的な取り立てがワイドショーを賑わした1980~90年代に、消費者金融が学んだ教訓といえます。
録音されやすい時代になったことも影響:
加えて昨今はカンタンに通話を録音されてしまう時代。
取り立ての電話であっても言葉を選んで会話しなくちゃいけないため、過度に暴力的な言葉を使うことはありません。
- イメージ:取り立て電話では暴言を浴びせられる
- 現実:取り立てであっても過激な言葉は使われない
たぶん、『おいっ、金返せ!ゴルァ!』とか、『期日までに返さなかったら家まで取りに行くからな!待ってろよ!』くらいの言葉が消費者金融やカード会社が使えるギリギリの表現なのではないでしょうか。
それ以上に過激な言葉を使ってしまえば、テレビや週刊誌にスクープされ、即、会社のイメージダウンに繋がってしまうものと思います。
3.取り立てに行くほうも怖い&お金がかかる:
3つ目は取り立てに行くほうも怖い&お金がかかること。
これ、イメージしてもらえればわかりますが、みなさんだったらお金に困り、生活に困窮している人のところに1人で『おいこら、金返せ!』と取り立てに行く勇気はありますか?
正直、私にはありません。
なぜなら困窮した相手から暴力的な仕返しを受けることもあれば、最悪の場合、刃物で刺されてしまう可能性だってゼロじゃないから。
よほど度胸のある人でもなきゃ怖くて近寄れないことでしょう。追い詰められた人間ほど恐ろしいものはないです。
取り立ては2人1組で行われる:
それゆえ、消費者金融にしろクレジットカード会社にしろ、取り立ては2人1組が基本。つまり取り立ての実行には2人分の人件費が必要になるんです。
また、お金を返さない人はなにも貸金業者の営業所近くに住んでいるとは限らないので、自動車や電車による移動自体が大きな負担。
しかも訪問時に在宅しててくれれば会うこともできますが、不在時や居留守を使われてしまえば郵便ポストに手紙を残して終了となります(片道2時間かけて行っても会えない場合があるってこと)。
- 取り立てに行く交通費
- 2人分の人件費
- 危害を加えられる可能性への対処
- 在宅してるとは限らない
結果、大手消費者金融やカード会社は、取り立てをするよりも貸倒れ(お金を貸したまま回収しなくてもいいと判断する)を選択しがち。
よほど貸した金額が大きいとか、営業所近くに住んでいる場合でもなければ電話やハガキによる取り立てが基本になるのです。
社員が怪我しても社会問題になる:
ついでにいうと消費者金融やカード会社が社員を取り立てに派遣し、その現場でなにか社員に怪我が生じてしまった場合には問題になってしまうので、社員にあまり取り立てに行かせたくない事情もありそうな感じ(相手を傷つけしまっても、社員が傷ついても社会問題になる)。
- 債務者に怪我を負わせる:大問題に
- 社員が怪我を負ってしまう:大問題に
こんな風にみなさんが想像するような暴力的な取り立てはもう、社会的に考えても無理な時代になってきたと言えそうです。
もはや現実的ではありません。
但し、ヤミ金となると話は別:
ここまで長々と暴力的な取り立て行為はテレビの中のイメージでしかない…ということを書かせていただきましたが、それはあくまで大手消費者金融やクレジットカード会社からお金を借りた場合の話。
残念ながら法律をそもそも順守していないヤミ金業者やクレジットカード現金化業者の場合には、最初から法律を守っていないわけですから取り立てが暴力的となる可能性があります(ヤミ金と消費者金融の違いはこちら)。
- クレジットカード会社:法律順守
- 大手消費者金融:法律順守
- ヤミ金:法律を完全無視
- 現金化業者:法律を無視する傾向に
そのため、どんなにお金に困ったとしてもこれらの業者からお金を借りては絶対にダメ。
仮にそこまでお金に困ってしまった場合には自己破産や任意整理といった債務整理をするなどして、借金を一度、帳消しにしてしまうほうが絶対にマシですよ。
困ったらプロに相談あるのみです。
※お金の返済に困った場合には下記記事なども参考にしてみてください。どうしようもなくなった時に読んでほしい記事です。
お金を返せば取り立てなんて来ない:
もうひとつ。
世の中には消費者金融やクレジットカード会社からお金を借りたら取り立てが来ると思っている方がいるんですが、毎月、きちんと約束通りにお金を返している人のところには取り立てなど来るはずもありません。
- 約束通り返済している人:取り立てが来ることはない
- 返済できていない人:取り立てが来る可能性がある
要は約束通りにお金を返さないから取り立てがくるだけの話なので、取り立てが怖い方は毎月きちんと期日までに返済するようにしてください。
それで自宅や会社に取り立てが来ることはないですよ。
以上、お金の取り立てに対するイメージは未だに暴力的。ただ実際には、臓器を売れとかペンキで金返せなどは、法律違反でしかありません…という話題でした。
参考リンク:
ヤミ金同様に怖いのが、クレジットカード現金化。
気軽に使えるイメージが強いこの換金ビジネスですが、一度使ってしまうとクレジットカードを強制解約させられてしまうだけでなく、自分の個人情報が闇ビジネスで共有されたりとロクなことがありません。
絶対に利用しないようご注意ください(詳しくは下記記事参照)。