先日、クレジットカードを持っているにも関わらずコンビニで現金払いをしている方を対象に、その理由を質問してみた私(詳細は下記記事参照)。
すると下記のように、44%もの方が少額決済でカードを使うのに抵抗がある…という結果になったわけですが、そうなると気になるのが『なぜ少額決済だとカードを使うのに抵抗があるのか?』という疑問ですよね。
そこで今回は1,000円未満の支払いで現金払いを選択する方を対象に、その理由をTwitter上で質問。
おかげさまで1,293人から回答をいただくことが出来たので、結果を記事にまとめておこうと思います(当該ツイートはこちら)。
※このアンケート結果は2019年時点のもの。現在ではキャッシュレス決済への意識が多少は変化してそうな感じです。
少額決済で現金が選択される理由:
ほんとうはカードを使いたい方が過半数以上:
早速、気になるその結果は下記の通り。
- 36%:少額でカードを使うなんて…という周りの目が嫌
- 32%:そもそもあまりカードを使いたくない
- 18%:少額なのにお店に手数料負担させたくない
- 14%:店員に迷惑をかけたくないから
このうち、全体の32%の方は不正利用が怖いとか、後払いが嫌などの理由でクレジットカードを積極的に使いたくない方々なので除外すると、残りの68%の方は『ほんとうは少額決済でもクレジットカードを使いたいのだけれども、理由あって現金払いをしている方たち』ってこと。
つまりモロモロの理由さえなければ、少額決済でもカードを使いたいのが本音と言えそうです(カードを使うこと自体には抵抗感がないってこと)。
一番大きい理由は「周りの目」:
では、何がカード払いを使いにくくさせているのか、改めて残った68%を元に比率を調整してみるとこんな形となります(68%分を100%に換算して比率を再計算)。
- 53%:少額でカードを使うなんて…という周りの目が嫌
- 27%:少額なのにお店に手数料負担させたくない
- 20%:店員に迷惑をかけたくないから
こう見てみると非常にわかりやすいですね。少額決済ではカードを使いにくいと思っている方たちの大半の理由は「周りの目」。
『えっ、そんな少額でもクレジットカードを使うの?』と友人知人&店員などから思われるのが嫌なので、周囲に習って現金払いを使っているのが大きいように思います。
カード=借金というイメージも:
また、周りの目を気にする方たちの中には、少額決済でクレジットカードを利用する=お金に困っているのでは…と思われることを気にしてる方もいそうな感じ。
ざっくり言うなら、少額でクレジットカードを使うなんてみっともない。そんな感覚が根底にあるようです。
お店が負担する手数料も気になる:
次に少額決済でカードを使いにくい方が気になっているのが、お店が負担するであろう手数料について。
ご存知ない方もいるかもなのでカンタンに説明すると、みなさんがクレジットカードや電子マネーをお店で利用すると、お店側は手数料としてカード会社等にお金を払わなくてはいけない契約を結んでいます。
- 大型チェーン店:2%前後の手数料負担
- 小規模店舗:3~5%程度の手数料負担
そのわかりやすい証拠が、クレジットカードを利用した時に貰えるポイント。
このポイントはその手数料の一部がカード会社経由でみなさんに還元された結果でしかないので、本屋でも病院でも、どこでクレジットカードを利用してもポイントが貰えるのはそういった仕組みがあるからなのです(詳しくはこちらの記事も参照)。
それゆえ、1万円、2万円といった高額決済ならともかく、100円や200円といった少額な買い物でお店に手数料を負担させてしまうのは申し訳ない…そう思う方は多いみたい。
言うなれば「日本人ならではの配慮」ってやつでしょうか。個人的にも好きな文化ですが、キャッシュレス化には障害でしかありません。
店員に申し訳ないという理由も:
少額決済でカードを使いにくい理由、最後は店員さんに迷惑をかけたくない思いです。
どうやら現金であればお金のやりとりだけで会計が終わるにも関わらず、クレジットカードを使ってしまうとサインやら暗証番号入力やらで余計な手間を煩わせることになるために、遠慮して現金払いを使う方が多いみたい。
確かに店員さんの中にはクレジットカード決済のやり方がわからずに、奥にいる店長を呼び出して決済を担当してもらうとか、カード決済機にクレジットカードを読み取らせるのがうまくいかず、何回もスライドを試してもらうなどの手間をかけてしまうことは事実かもですね。
- 現金払い:慣れているので早い
- カード払い:不慣れなので遅い(やり方がわからない)
とりわけ小規模な小売店やレストランで、この傾向は顕著な気がします。
他にも少数意見は多数あり:
他、Twitterに寄せられた意見には下記のようなものもありました。
- カードを使おうとすると店員に嫌な顔をされるから
- 少額決済を利用するとカード明細の管理が大変になるから
- カードは高額決済用というイメージがあるから
一番最初の「カードを使おうとすると店員に嫌な顔をされるから」はまぁ、少額決済に限った話ではないですが、そういった経験をするとクレジットカードを使うこと自体に抵抗を感じるようになってしまうのもわかる話。
私も古びたお店や、職人気質の経営者が運営している飲食店だと、ついつい現金払いを優先して使ってしまうこともあるくらいです(苦笑)
少額決済は管理が面倒という意見も:
2つ目は、少額決済でもどんどんクレジットカードを使ってしまうと利用明細書の行数が増え、ほんとうに使ったかどうかの確認がしにくい…というもの。
- 月間のカード利用件数が少ない:利用確認がラク
- 月間のカード利用件数が多い:確認作業が面倒に
なるほど、確かにそういう側面はありますが、私だったらセブン-イレブンやファミマといったコンビニ利用分は確認&照合すらしないことがほとんどなので、この辺は性格によるところなのかもなぁと思いました(家計簿アプリと連動させていれば、それほど手間にはならない面も)。
3つ目はもうイメージの問題ですね。
クレジットカードとはこうだ…という凝り固まった印象があると、なかなか少額決済にクレジットカードを使おうという気にならないのかもしれません。
これも一種の現状維持バイアスと言えそうです(いつも現金払いだと、現金払いを変えよる気にならないってこと)。
Twitterアンケートの信憑性について:
私のTwitterアカウントをフォローしてくれている人たちは、クレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済に興味がある人たちでもあるので、今回のアンケート結果はややクレジットカードに対して好意的になっている可能性あり。
それでもインプレッション数(Twitter上で表示された回数)は6万オーバー…と、私のフォロワー数を大きく超える数値になったので、実数としてはそこまで差異がある結果にはならないんじゃないかなと思います。
日本人らしさが目立つアンケート結果に:
ここまで解説させていただいたように、少額決済で現金払いを選んでしまう理由には様々なものが存在。
しかし、総じて言えることは、どれも日本人らしい理由ばかりで、世間体を気にしているとか、相手への申し訳なさが全面に出ちゃってる気がします。
- 周りからどう思われるかという世間体
- 相手に悪いなぁという遠慮
- 手数料を負担させたくないという気遣い
まぁ、これが日本の良さでもあるんですけどね。
少額決済でも感謝される場合も多い:
ただそれじゃ、そういった「配慮」がお店のためにもなっているのかといえば実はそんなこともなく、お店によってはむしろクレジットカードや電子マネーを使ってほしいと思っているところも多い現状あり。
中でもコンビニやファーストフード店はその傾向が顕著。
企業としてキャッシュレス決済を推奨しており、ファミマやローソンでは社長自らキャッシュレス決済比率を高めたいと公言しているほどです。
迷惑に思うお店も多いのが実情:
とはいえ、それは大手チェーン店での話で、町の小さな書店や洋服店をはじめ、昔ながらの飲食店等だとクレジットカード払いは歓迎されない支払い方法であるのもまた事実。
個人的にはクレジットカード決済を導入しているのであれば、カードを使おうとするお客さんに嫌な顔をするなよ…って思うところなんですが、中小店舗の経営者は「カードが使えることをアピールしてお客さんを集めたいけど、クレジットカード会社には手数料を払いたくない」という良いとこ取りをしたがる方も多いので、この辺が問題だなぁと思いますね。
- 理想:カード払いがストレスなく使える状況
- 現状:中小小売店だとカード払いが嫌がられる
そして残念ながらそういった意識改革がされていかない限りには、引き続き、少額決済でクレジットカードを使いにくい空気感が残ってしまう可能性が高いとも言えます。
店員さんはカードを使われたいと思っている:
あと、こちらも大手チェーン店に偏った話になってしまいますが、コンビニやドラッグストアの店員さんは、現金払いよりもクレジットカード払いを使ってもらったほうがありがたいと思っているもの。
その理由は単純で、現金払いだとお金をあずかる作業&釣り銭を返す作業が発生してしまうため。
- 現金払い:
お金をもらって釣り銭を返すのが大変(1万円札への釣り銭や、細かい小銭の受け渡しは意外と大変) - カード払い:
カードを機械に通すだけで処理が終わる(サインレス決済なので煩わしい客とのやりとりがない)
この作業が意外と大変なので、レジにカードを通すだけで決済が完了するクレジットカードのほうが好まれるという傾向もあるようです。
カード利用者に嫌な顔をするのは規約違反:
クレジットカード払いをしようとするお客さんに対して、あからさまに嫌な顔をするとか、『カード払いは困るんだよねぇ』といった言葉を投げつける行為は、クレジットカード会社の規約違反。
- カード客に嫌な顔をする:規約違反
- カード客に文句をつぶやく:規約違反
- カード客に現金決済を促す:規約違反
規約上は現金払いのお客さんとカード払いのお客さんを分け隔てなく扱わなくてはいけないことになっているので、よほど対応の悪いお店があったらカード会社に電話をして苦情を入れてもOKですよ。
態度がわるいお店にはキツいお灸をすえてあげましょう(加盟店規約違反の詳細はこちらの記事参照)。
カードを使って風潮を変えるしかない:
最後に。
おかげさまで今回、なぜ多くの方が1,000円未満の少額決済でクレジットカードを使いたがらないのかがわかりましたが、どれも一朝一夕で解決できるような問題点ではないのが痛いところ。
下記のようにざっくりとした改善案を私がここで声高に叫んだところで、世の風潮が一気に変わることもないので、地道に少しずつ少しずつ、クレジットカードとはどんなものなのかを訴えていくしかないのかもしれません。
- 少額でカードを使うなんて…という周りの目が嫌:
世間全体のクレジットカード決済に対する意識を変えていかないと無理。テレビや新聞などがこの先もキャッシュレス決済を推奨してくれればあるいは…。 - そもそもあまりカードを使いたくない:
クレジットカードは不正利用されても補償があることを周知させるとか、決済スピードそのものを向上させていく必要性がある問題点。 - 少額なのにお店に手数料負担させたくない:
カード決済を導入による集客力&客単価アップや、現金を扱うことによるハンドルコスト削減を考えると、客側が申し訳ない気持ちになる必要はないし、経営者側もそれを認識する必要性がある。 - 店員に迷惑をかけたくないから:
中堅以上のチェーン店であれば、店員さんはクレジットカードや電子マネー決済を使われたほうが助かる可能性が高いという点を広める必要性がある。
正しい使い方も伝えていく必要性あり:
加えて、クレジットカードを使いすぎないようにする工夫や、分割払いやリボ払いは借金と一緒なんだということを広めていく啓蒙活動も必要…と、日本にキャッシュレス決済が根付くためにはまだまだ超えなくちゃいけないハードルが無数に存在している状況があります。
まぁ考えるだけで少しゲッソリしますが、当サイト『クレジットカードの読みもの』では引き続きクレジットカードや電子マネー等の情報を発信し続けることで、その一助になればな…と思ってます。
是非、キャッシュレス決済に興味がある方は、また当サイトの記事を読みに来てください。Twitterアカウントでも情報発信中ですよ。
以上、なぜ1,000円未満の支払いだと現金を使うのか?少額決済でクレジットカードを使いたくない方に、使わない理由を質問してみた…という話題でした。
※当記事内で紹介している円グラフやイラストは、この記事にリンクを貼りさえすればご自由にお使いいただいて構いません。
参考リンク:
クレジットカードについて詳しく知っている方からすると信じられないかもしれませんが、カードを持ったことがない方や、積極的に使っていない方の多くが、クレジットカードは不正利用されると自己負担になると勘違いをしている傾向があります。
この辺の勘違いをまとめた下記記事も参考にどうぞ。
年会費がかかるんじゃないかとか、支払いのたびに手数料を取られると思っている方は、自分の間違いに気付けるものと思いますよ。