今回は、年収、所得、手取り、額面などなど、年収に関連する用語について初心者の方にもわかりやすく解説してみたいと思います。
『年収って夏冬のボーナスを含めた金額なの?』とか、『私の年収って手取り12ヶ月分でいいんだよね?』といった疑問をお持ちの方は、是非、この機会にしっかりとお金の知識を身につけてみてください。
読めば年収まわりの言葉がスッキリするはずですよ。
年収や所得、手取りの違い:
年収や手取りなどの言葉をざっくり解説:
早速、ざっくりと年収周りのキーワードを説明するとこんな感じ。
- 年収:1年間の収入合計のこと
- 月収:1ヶ月の収入のこと
- 所得(会社員):年収から給与所得控除を引いた金額
- 所得(個人事業主):売上から経費を引いた金額
- 手取り:年収から税金や保険料等を引いた金額
- 額面:年収と同じ意味
これだけだと流石にわかりにくいと思うので、それぞれ詳しく解説します(便宜上、解説する順番を変えます)。
手取りとは?
手取りとはあなたが勤務先から振り込まれた給与金額のこと。
たとえば銀行口座に20万円が振り込まれているなら、その20万円=手取りになります(手に取れる給与だから、手取り)。
そのため、『手取りはいくらくらい?』と誰かに質問をされたら、自分が会社から振り込んでもらっている金額をいえば問題なし。
- 手取り=銀行口座に振り込まれた金額
また、滅多に聞かれないかとは思いますが、『手取りの年収はどのくらい?』と聞かれた場合には、ボーナスを加えた振込金額を答えればOKです(手取り年収=毎月の入金給与+夏冬ボーナス)。
年収とは?月収とは?:
次に、年収とは何なのかというと、あなたが1年間に貰った給与合計のこと。こちらは税金や各種保険料を差し引かれる前の金額があなたがの年収となります。
- 手取り:税金や保険料が引かれ、実際に振込された金額
- 月収・年収:税金や保険料が引かれる前の、会社から貰ったお金の総額
この際、夏冬のボーナスや残業代を年収に含めるのか…といえば、これはもちろんYES。さらに特別ボーナスや役職手当なども年収に含めます。
反面、交通費はあくまで会社から便宜上もらっている金額にすぎないので、大小に関わらず年収には含めません*1。
このように源泉徴収票に記載された税金や保険代等が引かれる前の金額=年収となるので、手取りと混同しないようにしてもらえればと思います。
額面給与や額面年収は総支給額:
同様に額面給与や額面収入といった、給与や収入の横に「額面(がくめん)」が付けられた場合には、税金や保険代などの費用が引かれる前の金額と思えばOK。
要するに額面とは『書面上はこの金額を給与として貰ってますよ』といった意味合いなので、手取りと区別するためにわかりやすく「額面」が付け加えられてるだけなのですね。
- 額面給与=月収のこと。年間であれば年収。
- 額面収入=月収のこと。年間であれば年収。
- 額面で年収はいくら?=年収はいくら?
上記のように年間の額面給与=年収となります。
年収と所得の違いについて:
尚、会社員やフリーター、会社役員の方などはあまり使うことはありませんが、年収に関連する用語に「所得」と呼ばれるものがあります。
こちらはざっくりと言い切ってしまうと「所得税などの税金を計算するために使う金額のこと」。
会社員の場合には年収から給与所得控除と呼ばれるコムズカシイものを差し引いた金額が所得になりますが、その計算式は会社員である限りそれほど重要ではないので頭の片隅においておけば大丈夫でしょう。
- 年収:1年間の収入合計のこと
- 所得(会社員):年収から給与所得控除を引いた金額
- 所得(個人事業主):売上から経費を引いた金額
主に店舗経営者やフリーランスなどの個人事業主が使う言葉となります。
住宅手当や職務手当なども年収に含める:
住宅手当、職務手当、地域手当、扶養手当などなど、会社によってさまざまな手当が支給される可能性がありますが、それらの手当は原則としてすべて年収に含めてOK。
- 住宅手当:年収に含める
- 職務手当:年収に含める
- 地域手当:年収に含める
- 扶養手当:年収に含める
- 単身赴任手当:年収に含める
- 広域異動手当:年収に含める
- 勤勉手当:年収に含める
- 寒冷地手当:年収に含める
- 特殊勤務手当:年収に含める
なぜならそれらの費用は所得税や住民税の課税対象となっているので、基本給や残業代などの給与と変わりがありませんよ(通勤手当や旅費手当は所得税等がかからない非課税の手当なため年収には含まない)。
年収などの給与に関する細かい知識:
続いて年収に関する知識を深めるために、年収に関連する細かい知識についても書いておこうと思います。
クレジットカード申込時に書く年収は?
クレジットカード、住宅ローン、消費者金融といったものを申し込む時に書く「年収」はどの年収なのかというと、これはもちろん夏冬ボーナス&残業代を含めた総支給額を書けばOK。
このあたりを間違えて、手取り月収×12を年収として書いてしまう方もいますが、そうすると結果的に記入金額が少なくなってしまい、入会審査において不利になります。
- 正解:ボーナスなどを含めた総支給額である年収を記入
- 間違い:手取り月収×12ヶ月分の金額を記入
くれぐれも自爆しないようお気をつけ下さい。
勤務日数が少ない時の年収は推測でOK:
では、この4月から新卒で正社員になったからまだ自分の年収がわからない!年収記入欄にはどう書けばいいの?といった場合にはどうすればいいのか、これはもう予測の年収を書いてしまって問題なし。
たとえば月収がだいたい20万円くらいなら、ボーナスを加えて年収300万と書いてしまってOKといった感じですね。
同様にアルバイトで生計を立てている方も、月収10万円くらい稼げそうだなと思ったら年収120万円と書いてしまって大丈夫。
- 新入社員:推測の年収を記入して問題なし
- アルバイト:シフトを考慮して年収を予測してOK
- 契約社員や期間工:月収から年収を推測してOK
詳しくはクレジットカード入会審査における年収欄を解説したこちらの記事にまとめてあるのであわせてどうぞ。
年収の対象期間は何月から何月まで?
年収は何月から何月までの分を年収とするの?というと、1月~12月分で計算するのが基本。
これは源泉徴収票の算出期間が1月~12月なので、それに合わせるのが正しい年収であると言えます。
- 間違い:年収は4月~3月末までの金額
- 正解:年収は1月~12月末までの金額
では4月入社の新入社員は、4月から12月までの給与で年収を記載しなくちゃいけないのかといえば、そんなことは無し。
勤続年数が1年未満なら、前述のように予測で年収を言ってしまって大丈夫です。
年俸制でも年収は1月~12月:
ちなみに。
人によっては年俸制の給与形態で勤務していて、入社月を起点にそこから1年の年俸が設定される場合があるかもしれませんが、そういった場合でも年収は1月~12月で考えるべき。
そもそも年俸制だろうがそうじゃなかろうが源泉徴収票には1月~12月の給与が記載されますし、所得税や住民税もその金額を元に算出されるので、年収とはそういうもんなんだと思ってもらえればと思います。
なぜみんな手取りを聞きたがるのか?
飲み会の席等で給与の話になると、なにかと聞かれるのが「手取りはいくら?」という質問。
しかしなぜ総額の年収のほうではなく、税金等が引かれたあとの月収のほうを知りたがる方が多いのでしょうか?
これは予測するに、手取り月収を聞けばその人の生活レベルがわかりやすいため。
なにせ手取り=自由に使えるお金なので、手取りが多いか少ないかでどんな所に住んでいるのかまでだいたい予測できるのですね。
額面の月収では推測が難しい:
反面、額面の月収を聞いたとしても、勤務先によっては持株会や社員旅行の積立などでごっそりお金を持って行かれる…なんてことも多いので生活レベルを推測するのはなかなか難しいのが現状。
- 額面の月収を聞く:どこまで天引きされるか推測しにくい
- 手取りの月収を聞く:生活レベルがわかりやすい
だったら最初から「手取りはいくら?(銀行に毎月いくら振り込まれてるの?)」と聞いてしまったほうが聞き手にとっては早いようです。
年収=手取り額と総支給額のどちら?
知人・友人などから年収を聞かれた場合には、手取りと額面のどちらを答えるべきか…というと、これは額面のほう。
そもそも手取りの年収を回答する機会はほとんどないので、年収=税金や保険代が引かれる前の総支給額だと思って問題ないです。
月収の場合は?
では、月収を聞かれた場合にはどちらを回答すべきでしょうか?
こちらは不思議と「手取り(税金や保険が引かれた後の金額)」のほうを回答することのほうが多い印象があります。
まぁ相手の質問意図がわからないなら、素直に『それって額面と手取りどっちの話?』と聞き返せば問題はないんですが、だいたいは手取りでどのくらい貰っているのかを知りたがってる場合が多いですよ。
- 年収を聞かれた場合:総支給額であることが普通
- 月収を聞かれた場合:手取り額であることが多い
以上、年収とはボーナスや残業代を含めた数字?わかりやすく年収、所得、手取り、額面などの、給与に関するマネー用語を解説します…という話題でした。
参考リンク:
年収や手取りがよくわかっていなかった方は、残念ながらお金にちょっと弱い方の部類に入ってしまうかも。
今のままだと社会を渡り歩く上で困ることが多いかと思うので、もし一念発起して『お金をもっと勉強しよう!』と思った方は、この機会に下記記事を参考に金融や経済の知識を付けてみてください。
初心者の方でも読みやすい、眠くなりにくい本を中心に紹介していますよ。
*1:厳密にいうと課税対象となる通勤手当、例えば10万円の高額交通費をもらっている人などは年収に含む場合もあります。また派遣社員なども通勤手当を収入扱いする場合もありますが、原則としては「交通費&通勤手当は年収に含まない」でOKです。