クレジットカードの読みもの

クレジットカードに関する様々な知識や使い方を「読みもの」として紹介していくサイトです。

決済手数料0%でもキャッシュレス決済が普及しないのはなぜ?LINE Payが手数料無料を打ち出したものの、導入店舗は見当たらずです。

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『日本でクレジットカードが普及しないのは、初期費用や決済手数料が高いからだ!3~5%も手数料を負担するなんて、うちには無理だよ!』

そんなふうに文句を言われることが多いクレジットカード等の電子決済。

実際、野村総合研究所が2018年2月8日付けでまとめた「キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識」という資料では、下記図のように決済手数料や設置費用が高くてクレジットカード等の電子決済を導入しないという経営者の方が多いことがわかります。

決済手数料が高いからという理由が31%で全体の1位

決済手数料が高いからという理由が31%で全体の1位

決済手数料が1.5%未満にならないと導入は無理という結果

決済手数料が1.5%未満にならないと導入は無理という結果

まぁ総じてみなさん、クレジットカードや電子マネーの決済手数料が高すぎるから、電子決済を導入したくないんだという見解のよう。

個人的には現金のハンドルコスト(釣り銭用意やレジ締め、釣り銭間違いなど)のほうが高いと思うのですが、そのあたりは経営判断ですからね、従来の現金払いのほうが経費がかからないという判断なのでしょう。

わからなくもありません。

電子決済は手数料無料でも普及しない:

LINEが決済手数料0%の電子決済を発表した:

そんな中、2018年6月28日に前代未聞の動きが出てきました。

コミュニケーションアプリとして普及しているLINEのQRコード決済であるLINE Payが、3年間の期間限定ではありますが、店舗側の負担を0円にする、決済手数料0%を打ち出したんです(引用はこちら)。

3年間「LINE Pay 店舗用アプリ」QRコード決済手数料を無料化(期間:2018年8月より3年間)

2018年8月1日~2021年7月31日の3年間、電子決済利用の際に店舗側が負担する決済手数料を「LINE Pay 店舗用アプリ」に関しては0%で提供いたします。

これにより、アプリをご利用の事業者は、3年間QRコード決済を初期費用ゼロ、手数料もゼロで利用可能になります。

これにより2018年8月1日からは決済手数料なしで電子決済を導入可能

しかもLINE Payはスマホやタブレット端末が1台あれば初期費用0円で導入可能なため、このニュースを聞いた私は『これは大きな動きになる!日本もついにキャッシュレス化するぞ!』と思ったものです。

  • 初期費用:0円
  • 決済手数料:0円

同時に発表された、LINE Pay利用者側のメリットについては下記記事参照。

news.cardmics.com

蓋を開けてみるとまったく話題にならず:

しかし、2018年8月1日になってもLINE Payはまったく話題にならず。

すでにLINE Payが決済手数料0%を発表してから1ヶ月半近くが経過していますが、今のところLINE Payを新規に導入したお店を見つけることが出来ていませんし、LINEユーザーの友人たちの間でLINE Payが話題になることもない。

また、LINE側によると数千件ほどLINE Payの決済アプリがダウンロードされたそうですが、その中で実際にLINEと加盟店契約を締結した人は多くても1,000件程度と推測。

これでは街歩きをしている際に見つけられる可能性は極端に低いと言えます(引用はこちら)。

LINE Payの長福取締役CEOは、6月のカンファレンスでキャッシュレス化、ウォレットレス化を推進するためには加盟店とユーザー側、双方に革命が必要だと掲げていた。

発表直後には数千件のダウンロードがあり、好調に伸びているという。

Yahoo! JAPANとソフトバンクも始めるQRコード決済:

まだ導入が開始されてはいませんが、2018年の秋にはYahoo! JAPANとソフトバンクが共同でQRコード決済を開始するとのこと。

こちらもLINE Pay同様に期間限定で決済手数料0%を打ち出す予定ですが、今のままだと導入店舗はごくごくわずかになってしまう可能性が高そうです。

考えられる導入しない4つ理由:

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では、決済手数料が0%と破格なのにも関わらず、LINE Payがまったく普及しない理由にはどのようなものがあるのでしょうか?

私が推測した限りだとこんな感じ。

  1. 現金払いのほうが入金が早い
  2. 使い方や仕組みがよくわからない
  3. 導入する必要性を感じない
  4. 電子決済導入しちゃうと売上まるわかり

1.支払いサイクルがかなり遅い:

1つ目は支払いサイクルの問題です。

LINE Payでは規約を確認してみると、今どき珍しいほどに遅い「月末締め翌月末払い」といった支払いサイクルを採用している様子。まぁこれじゃ導入したくない経営者の方も多いですよね。

  • LINE Pay:月末締め翌月末払い
  • 他のカード決済:月1~2回入金
  • モバイル決済:最短翌日(詳しくはこちら

特に小規模店舗や個人レストランなどでは、この支払サイクルの遅さは死活問題。お金に余裕がある経営者でなければ導入などできません。

2.使い方がわからないから問題:

ただそれでは支払いサイクルが遅いからという理由でLINE Payの導入を多くの経営者が見送っているのかといえばそうではありませんよね。

仮にその理由で導入見送りをしているのであれば、とりあえず「LINE Pay 店舗用アプリ」のダウンロードは試しているはず。

それをせずに導入を見送っているということは、どちらかというと『そもそもLINE Payってなんだ?小難しそうだから別に導入しなくてもいいや』という経営者のほうが圧倒的に多い可能性は高そうな気がします。

  • 間違い:支払いサイクルが遅いから導入しない
  • 正解:よくわからないから導入しない

3.導入する必要性を感じない問題:

もうひとつ大きいだろうなぁ…と思うのが、そもそもLINE Payを導入する必要性を感じないって点。

要するに、現金払いのみでも十分に回っている経営手法を変えてまでLINE Payを導入する理由がないので、いくら決済手数料0%であっても導入には消極的だというものです。

こちらは前述のように私個人が思うには、現金決済って釣り銭を用意したり、レジの残高を確認したりするハンドルコストがかかってしまっている分だけ損なんですが、それほどお店が忙しくない店舗経営者ならヒマな時間に対応すればいいだけ。

  • 忙しいお店:現金のハンドルコストは高く付く
  • 暇なお店:現金のハンドルコストは負担にならない

わざわざ電子決済を導入しなくてもお店が回るということなのでしょう。

4.売上がバレたくない問題:

LINE Payを店舗経営者が導入しない理由、4つ目は「店舗の売上がバレるとなにかと面倒だ」という話です。

先日、話題になった大阪城のたこ焼き屋さんのように、現金決済ならではの脱税というのは世の中に横行しているもの。

大阪城公園にあるたこ焼き店「宮本茶屋」が巨額脱税をしていたとして、店主の○○被告(72)が起訴された。おととし(2016年)までの3年間、3億3000万円の所得をいっさい申告せず、約1億3000万円、たこ焼き換算で170万個分を脱税した疑い。

宇都宮は「申告の必要があると思っていなかった。今後はきちんと納税する」と代理人を通して話しており、1億3000万円はすでに納付されたという。40年前に開店して、これまで1度も所得税を払ったことはなかった。

その点、LINE Payやクレジットカードといった電子決済を導入してしまうと、銀行通帳に入金の履歴が正しく記録されてしまうために、経営者として「困る」ことになるというのがその理由となります。

ちなみに『脱税なんてごく一部なんじゃないの?』と思われる方は下記記事も参考に。トーゴーサンピンやクロヨンといった言葉があるくらいに多いものですよ。

news.cardmics.com

カードの代替えとして使えるLINE Pay:

LINE Payは支払いサイクルが遅い…というデメリットはありますが、据え置き型のクレジットカード決済機を導入している小売店や飲食店なら、LINE Payを導入することでクレジットカード決済を手数料分を節約することは可能。

  • LINE Pay決済:手数料0%
  • クレジットカード決済:手数料3~6%程度

どちらも支払いサイクルにはそう違いはないことが多いので、積極的にLINE Payを推奨して手数料を節約するのが経営としては良い判断であるように思います(最短翌日には入金してくれるモバイル決済への切替もおすすめ)。

政府が後押ししないと厳しい普及:

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こうまとめると、LINE Payが普及するためには支払いサイクルをもうちょっとどうにかしないといけないなぁ…と思うところがあるものの、仮に支払いサイクルが3~5日後くらいに短縮されたとしても多くの店舗経営者が導入するとは思えない私。

  • 経営者の建前:手数料が高いから導入しない
  • 経営者の本音:面倒だから導入しない(税金を払いたくない)

LINE Payの決済手数料0%が発表された時には、『これで日本もキャッシュレス社会になれる!』と思ったものなんですが、このままではただの幻想に終わってしまいそうな気配です。

宝くじを導入しないともはや変わらない:

それじゃどうすれば日本社会がキャッシュレス化するのかというと、これはもう宝くじ導入しかないですよ、わりと本気で。

なぜならそれには前例があって、お隣の韓国で宝くじが導入された際には、一気にクレジットカード利用額と発行枚数が増加したことがあるから(引用&転載はこちら)。

事実、下記図をご覧ください。

韓国では1999年に『クレジットカード利用に応じて宝くじ当選の権利を付ける』という制度を導入したところ、年間のカード決済額が右肩上がりに成長。

現在では世界有数のキャッシュレス大国になっている状況があります。

宝くじなどが導入された後の決済額推移

宝くじなどが導入された後の決済額推移

1999年を境にカード発行枚数と利用額が急増

1999年を境にカード発行枚数と利用額が急増

韓国は世界有数のクレジットカード大国

韓国は世界有数のクレジットカード大国

(1) 背景

韓国におけるキャッシュレス化は、1997 年の東南アジア通貨危機の影響を受け、その打開策として実店舗等の脱税防止や消費活性化を目的に、政府主導によるクレジットカード利用促進策を実施した結果が、その一因であると考えられる。

(2) 取組みと実績

政府が実施したクレジットカード利用促進策としては、主に以下の3つの取組みが挙げられる。

  1. 年間クレジットカード利用額の20%の所得控除(上限30万円)
  2. 宝くじの権利付与(1,000 円以上利用で毎月行われる当選金1億8千万円の宝くじ参加権の付与)
  3. 店舗でのクレジットカード取扱義務付け(年商240万円以上の店舗が対象)

これらの施策の結果、1999年から2002年にかけて、クレジットカード発行枚数は2.7倍、クレジットカード利用金額は6.9倍に急拡大した。

こんな感じで日本も宝くじ制度を導入すれば、多くの日本人が宝くじ目当てでクレジットカードを使うようになるのかも。

そして多くの人がカード払いを使うようになればお店側もクレジットカード決済機を導入しないいけなくなる…といった具合に、一気にクレジットカード決済が普及するんじゃないかと思うのです。

個人債務の増加にだけは注意:

但し、クレジットカードを使えば使うほど宝くじ当選の可能性が高まる…というと、ついつい無駄な買い物までしてしまう人が増えてしまうのは困りもの。

実際に韓国ではこの政策を実施したのちに個人債務(要するに家計の借金)が膨らみ、返済で首が回らなくなってしまう人が急増する弊害も起きてしまったので、日本で導入する場合には宝くじが貰える上限金額を決めるとか、そういった防止策を講じた上で実施してほしいなと思います。

ほんともうこれ以外、日本でクレジットカードや電子マネーが一気に普及する政策は難しいのかもしれませんね。

東京オリンピックまであと2年。政府にはそろそろ重い腰をあげていただいて、本気でキャッシュレス社会実現に向けて動き出して欲しいものです。

以上、決済手数料0%でもキャッシュレス決済が普及しないのはなぜ?LINE Payが手数料無料を打ち出したものの、導入店舗は見当たらずです…という話題でした。

私同様にキャッシュレス社会が実現してほしいと思っている方は、この記事や関連ツイートを広めてもらえれると嬉しいです。

参考リンク:

『そもそもなんで現金払いじゃダメなんだよ!』という方は下記記事を参考に。クレジットカードや電子マネーを普及させなくてはいけない理由についてわかりやすくまとめています。

news.cardmics.com

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