クレジットカードの読みもの

専門家がクレジットカードや電子マネーをわかりやすく解説していくサイトです。

孫正義は配当金をもらうことで税金を20%しか払ってない…は間違い!大株主は配当金にも総合課税が適用になり、最大55%を負担します。

f:id:cardmics:20180731131143j:plain

しばしば話題になる、総合課税と分離課税の問題。

カンタンに説明すると、汗水たらして働いたお金にかかる税金は最高で55%なのに、株の売買や配当金で貰うお金には20%しか税金がかからないのはズルい…というものです。

  • 働いた場合の税金:最高税率55%
  • 株取引にかかる税金:最高税率20%

実際、本日もネット上でこちらの記事が話題に。

内容としてはソフトバンク株の大株主である孫正義氏は年間102億円もの配当金をもらっておきながら、20%しか税金を払っていない!もっと納税しろ…ってものなんですが、これって本当なんでしょうか?

国税のOBも言っていましたが、税務会計上は赤字だけど、財務会計上は過去最高益で、役員の報酬はべらぼうに高くなるわけですよ。

孫さん本人の報酬は2億2900万円で、あれだけの規模の企業体の会長としては少ないけど、ソフトバンク株を2億株以上持っているから、年間約102億円もの配当を受けています。

所得税は最高税率45%ですが、配当でもらうとキャピタルゲイン課税で20%ですんでしまう。

今回はこの点について個人的に思うところがあったので、記事にしておきたいと思います。

大株主への配当金課税について:

大株主は配当金も総合課税:

まず、結論から先にいってしまうと、孫正義氏が20%しか税金を払っていないわけがありません(苦笑)

論より証拠、SBI証券の配当金に関するQ&Aを引用してみるとこんな感じ(引用元はこちら)。

個人の大口株主(発行済株式総数の3%以上を所有している株主)が支払いを受ける配当金の税率については、所得税20%を源泉徴収のうえ、総合課税として確定申告が必要となります。住民税は総合課税です。

要するに発行株式数の3%以上を保有している大口の株主は、税率が20%じゃなくて働いた場合と同じ分だけの税金がかかりますよ…という内容なので、ソフトバンク株を大量保有している孫正義氏も税金を20%以上払っていることになります。

  • 間違い:
    孫正義氏は配当金に対して20%しか税金を払ってない
  • 正解:
    孫正義氏は配当金に対して最大55%の税金を払っている

そして当然、102億もの所得があれば税率は最高税率に限りなく近い数値になる可能性大。

加えて今は復興特別税の負担もあるため、現実は55%をすこし超える程度の負担になっていると予測されます。

大株主の定義が変更になったのは2011年:

ちなみに。

大口の株主に対する総合課税については従来、5%以上の大株主のみが対象でしたが、現在では3%以上の大株主のみが対象に変更済み(引用元はこちら)。

「大口株主等」とは、発行済株式等の5%以上を保有する個人をいうこととされているが、今回の改正で、この保有割合が3%以上に引き下げられた。

この改正は、2011年10月1日以後に支払いを受ける配当等について適用されることになるが、この見直しにより、軽減税率が適用されない大口株主等は、2倍近くに増加するとみられている。

現在、発行済株式等の保有割合が5%以上の大口株主等が支払いを受ける配当所得は、事業参加性があるとみなされ、分離課税は適用できず、総合課税の対象となっている。

それゆえ、創業者と呼ばれるような経営者の多くはこの「大口株主等」にひっかかってしまうことになるので、楽天市場の三木谷社長やユニクロの柳井社長も例外にもれず、55%に限りなく近い税金を負担しているものと思われます。

他、創業者の家族や子供等でも3%以上の株主保有者は少なくありません。そう、金持ちでもちゃんと20%以上の税金を納めてるんです。

金持ちは税率が低いという誤解:

こんな感じで配当金の半分以上を税金として納めているにもにも関わらず、「配当金にかかる税金は大株主でも20%」という間違った情報によって叩かれてしまうのは悲しい話。

実際、孫正義氏の場合には手元に入ってきた102億円の配当金のうち56億円前後を国に納税してくれてるというのに、誤った情報によって「標的」にされてしまうのは理不尽すぎるので、今回、こうして記事にさせていただきました。

  • 税率20%なら:
    確かにズルいので叩かれるべきだし、法律を変えるべき
  • 税率55%なら:
    入ってくるお金の半分以上を納税しているのだから、叩かれるべきじゃない

まぁ、それでも45億円程度が手元に残るならいいだろ…と叩き続ける方もいるかもですが、個人的には税率が高くても日本に住民票を残し、毎年、税金をしっかり納めてくれてる孫さんにはもっと感謝したいですね。

ほんとありがとうございます。

配当金には二重の税金がかかってる:

企業が株主に対して払う配当金というのは原則、企業が法人税の支払いをしたあとに残ったお金から捻出されるお金。

そのため、配当金を株主がもらった時に総合課税される大株主の場合には、法人税、所得税、住民税がかかってしまうので、税金を徴収する側である日本政府からすると「お得意サマ」でもあるんですよね。

  • 一般投資家への配当:法人税+分離課税
  • 大株主への配当:法人税+総合課税

ゆえに孫さんや三木谷さんへの配当金支払いは国にとっても大きな税収源。

その後は社会保障や公共事業などなど、日々の暮らしを良くするためのお金として使われることになるため、そういった意味でももっと有名経営者には感謝すべきなのかなと思います。

正しい情報がもっと広がってほしい:

f:id:cardmics:20180512140116j:plain

最後に。

今回、こうして金持ちの税負担について記事にしてみましたが、日本国内に蔓延している、『庶民は高い税金を払ってるのに金持ちは税金を少ししか払っていないに違いない!』という不思議な共通認識が変わらない限りは、今後も金持ちが叩かれやすい構図には変化がないのかもしれませんね。

  • 印象:金持ちはズルして税金を納めてない
  • 現実:金持ちだってちゃんと税金を納めてる

事実、その結果として冒頭のビジネスジャーナルの記事を読んで、「孫正義は配当金に対して20%しか税金を払っていない」という情報をそのまま鵜呑みにしてしまう方のほうが多いはずなので、なかなか正しい情報というのは広まっていかないなぁ…と思うばかりです*1

この記事を読んでくれた方に感謝:

だからこそ、せめてこの記事を読んでくれた皆さんだけは、『孫さんは配当金の半分以上を税金として納めてるのかぁ、半分以上も納税するとか大変だ。』と思っていただければ嬉しいですね。

そして周りの方にも是非、金持ちだって税金をたくさん納めてるんだよってことを教えてあげてください。それが世論を動かすキッカケになるといいなぁと思います(たくさん納税をした富裕層には感謝をしてあげてほしい)。

以上、孫正義は配当金をもらうことで税金を20%しか払ってない…は間違い!大株主は配当金にも総合課税が適用になり、最大55%を負担します…という話題でした。

参考リンク:

『金持ちはもっと納税しろ!』的な意見の一因にもなっているのが、日本の所得税のわかりにくさ。現実的には住民税も所得に対してかかる税金なのですが、所得税だけをみると最高税率45%という数字になってしまう状況があるんです。

  • ニュース等で紹介される税率:最高45%
  • 実際の税率(所得税+住民税):最高55%

詳しくは下記記事を参考にどうぞ。これを見ると日本の税率って結構高いな…と思ってもらえること間違いなしですよ。

news.cardmics.com

*1:こうやって私が記事にしても、ビジネスジャーナル側が修正するとは思えないですし、すでに既読済みの方の中の情報が変わることもない。

PAGE TOP