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現金払いにこだわる人は、お金の知識が足りない傾向あり!そんな驚きの統計結果が、金融広報中央委員会の金融リテラシー調査に存在。

MONEYの文字と現金紙幣の画像

『クレジットカードや電子マネーを使おうとせず、現金払いにこだわる人は総じてお金の知識が足りない!』

そんな驚きの統計結果が、公的機関ともいえる「金融広報中央委員会」の金融リテラシー調査に存在していることはご存知でしょうか?(引用元はこちら)。

金融広報中央委員会

金融広報中央委員会は、都道府県金融広報委員会、政府、日本銀行、地方公共団体、民間団体等と協力して、中立・公正な立場から、暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を行っています。

ではなぜ現金払いにこだわる人はお金の知識が足りないのか、今回はその理由を記事にまとめていってみたいと思います。

現時点で現金払いを使っている方はもちろん、クレジットカードや電子マネーを活用している方もご覧ください。

支払手段と金融リテラシーについて:

2万5,000人を対象とした大規模調査:

まず、金融広報中央委員会による金融リテラシー調査は、日本国民の金融知識を把握するために行われる大規模調査です(引用元はこちら)。

金融リテラシー調査

この調査は、金融広報中央委員会が、18歳以上の個人のお金や金融に関する知識や行動の特色を把握するために、実施したものです。

これは、諸外国での取り組みも参考にしつつ、今後、金融広報中央委員会として、より効果的かつ効率的な活動を実施してくいくための基礎情報を収集することを目的としています。

調査対象はなんと2万5,000人。

それゆえ、金融リテラシー(お金に関する知識)を調査した統計データでこれを超えるものは日本国内に存在しない可能性が高いですね。

そのくらいに金融広報中央委員会の調査結果は、正確性と権威のある統計データであると言えます。

現金主義な方は金融知識が乏しい:

そんな金融リテラシー調査の中で今回、私が着目したのは下記の設問です。

Q46 あなたは前の質問で「クレジット・カード」「デビット・カード」「電子マネー」「スマートフォン決済」のいずれかの使用頻度は『ほぼ/全く使わない』『そもそも保有していない』とお答えになりました。

これらの支払方法をあなたが使うようになるとしたら、それはどのような場合でしょうか。

この設問に対して24.5%の方が、「現金で十分満足しており、他の決済手段を使う考えは全くない」と回答。

全体の1/4が現金払いのままで良いと回答

全体の1/4が現金払いのままで良いと回答

要するに、どんなにクレカや電子マネーが魅力的でも現金払いをやめるつもりがない…という意向を持った方々が全体の1/4ほど居たわけですが、金融広報中央委員会ではこれらの方に対してこう結論付けてるんです(赤字は当サイトによる装飾)。

支払方法としてキャッシュレス決済へ移行する場合の動機として、「現金で十分満足しており、他の決済手段を使う考えは全くない」を選択した人の正誤問題の正答率は低く、また「わからない」を選択する割合が高い

わかりやすく言うと冒頭の通り、現金払いにこだわってる人はお金の知識が乏しい傾向がある…となります。

どのくらい金融知識に差があるのか:

では、現金払いにこだわっている人と、多少でもクレジットカードや電子マネーを利用している人では、どのくらい金融リテラシーに差があるのか?

気になる結果は下記の通り。

比較項目 正答率 誤答率 わからない選択率
「現金で十分満足しており、他の決済手段を使う考えは全くない」と回答した人 42.6% 15.8% 41.6%
それ以外を選択した人 61.3% 18.0% 20.8%
全体平均 56.6% 17.8% 25.6%

ご覧のように現金払いにこだわっている人と、それ以外の支払手段を使っている人では明確な差が存在。

  • 現金払いにこだわってる人:正答率42.6%
  • 他の支払手段を使ってる人:正答率61.3%

加えて現金派の正答率が全体平均である56.6%よりも著しく低いことを考えると、残念ながら現金払いに固執している人はお金の知識に乏しいと言い切ってしまっても良い感じ。

そのくらい対象者の正答率が低い状況があります。

年齢があがると正答率は高くなる:

そんな現金払いにこだわりがある人は、年代を問わずに金融リテラシーが低いのでしょうか?

こちらは当然ながらNO。

下記表のように、60代や70代の正答率は50%を超えていますが、それでも全体平均の56.6%に届かないのもまた事実(唯一、70代男性の正答率のみが平均以上)。

さらに20~30代の正答率は40%未満と、学校なら赤点レベルです。

  • 若年層:正答率が極端に低め
  • 高齢層:正答率が高めだが平均以下
比較項目 全体 男性 女性
18~29歳 29.9% 31.0% 28.7%
30~39歳 37.0% 37.8% 36.1%
40~49歳 40.5% 42.1% 38.9%
50~59歳 45.3% 44.8% 45.8%
60~69歳 50.7% 51.2% 50.2%
70~79歳 53.8% 58.5% 49.9%
全体 42.6% 43.7% 41.5%

全体的に見るとやはり、お金の知識に乏しいと言わざるを得ません。

全体平均と比較すると丸わかり:

ついでにわかりやすく、金融リテラシー調査全体の年齢階層別正答率と比べた棒グラフも作ってみました。

全体平均よりも現金払いにこだわりがある人のほうが正答率が低い

全体平均よりも現金払いにこだわりがある人のほうが正答率が低い

ひと目でわかるように20代から70代まで、どの年齢階層でも全体平均に届かない状況です(全体平均の正答率を現金派が落としてるともいえる)。

世の中、お金で解決できることは多い:

住まい、着るもの、食事といった基本的なことから、夫婦ケンカの原因に会社での無理な残業まで、この世の中にはお金で解決できる悩みってたくさん存在します。

それにも関わらずお金の知識を付けない人が多いのは、世の中におけるちょっとした矛盾のひとつ。

なにせお金の知識さえ付ければお金で苦労する確率が減るわけですから、現時点で金銭的な悩みを抱えている方は兎にも角にも金融の勉強をするようにしてください。

そうすれば攻略本を読んだあとのゲームのように、人生をもっとストレスフリーで過ごせるようになりますよ。

現金にこだわる方の特徴について:

デスクの上にある500円玉の画像

続いて参考までに、現金払いにこだわる人はどういった傾向を持つ人なのかについても紹介しておきます(すべて金融広報中央委員会の金融リテラシー調査より引用)。

年収や資産は少なめな傾向:

まず、現金払いにこだわりがある人は統計上、年収や資産が少なめな傾向あり。

比較項目 全体平均 「現金で十分満足しており、他の決済手段を使う考えは全くない」と回答した人
年収が500万円以上の人の割合 34.4% 25.0%
金融資産額が500万円以上の人の割合 28.9% 19.0%

これは年収がある程度、高い人ではないとクレジットカードが作りにくい側面もあるかと思いますが、今回の統計データは「現金で十分満足しており、他の決済手段を使う考えは全くない」と回答した方のみを抽出した結果。

要は電子マネーやPayPay等のスマホ決済を含めて拒否している方による統計結果なので、現金払いに固執することと年収や金融資産の少なさには一定の相関関係があると言えます。

  • 他の統計:
    クレジットカードが作れない人を含む統計データ
  • 今回の統計:
    クレカや電子マネーを含め、キャッシュレス決済を使おうとしない人による統計データ

興味がある方はJCBが実施した同様の調査結果もご覧ください(下記記事を参照)。

news.cardmics.com

金融トラブルには巻き込まれにくい:

次に、「現金で十分満足しており、他の決済手段を使う考えは全くない」と回答した人は、若干ではありますが金融トラブルに巻き込まれにくい傾向あり(下記は金融トラブルを経験したことがあるかの比率)。

  • 全体の平均:6.7%
  • 現金払いにこだわりがある人:6.2%

これは現金払いのみを利用していればクレジットカードを使いすぎて多重債務に陥いる危険性は低いですし、投資詐欺等に巻き込まれることが少ないためと推測。

ただそれじゃ現金払いのみを利用していれば金融トラブルに巻き込まれる危険性が顕著に低いのかというとそうでもなく、下記図のように金融リテラシーが高い人であればそれ以下の経験比率になるのでなんともいえない感じです(60歳から79歳の方に限定した、金融トラブル経験者の割合)。

60代や70代でも金融知識が豊富なら避けることができる

60代や70代でも金融知識が豊富なら避けることができる

やはり知識にまさるものはありません。

その他の興味深い違いを抜粋:

その他、全体平均と「現金で十分満足しており、他の決済手段を使う考えは全くない」と回答した人を比較した上で、興味深いところをいくつか抜粋。

比較項目 全体平均 「現金で十分満足しており、他の決済手段を使う考えは全くない」と回答した人
金融経済情報を月に1回もみない人の割合 38.6% 53.4%
「学校で金融教育を行うべき」と思っている人の割合 67.2% 51.9%
消費者ローンを利用している人の割合 4.8% 4.3%
お金を借り過ぎていると感じている人の割合 12.8% 12.4%

上2つはお金の知識不足を表す統計結果ですね。

  • 金融知識を月に1回も見ない人:53.4%
  • 金融教育の必要性を感じる人:51.9%

中でもお金のニュースを月に1度も確認しない人が過半数以上…と、お金の勉強したり、家計を見直そうとする時間が足りていないことがわかります。

そして下2つは現金払いにこだわりがある人の真面目さを表す数字。

前述の金融トラブルに遭遇する比率が全体平均よりも低い点を含め、現金払いにこだわりがある人には堅実な性格な方が多いのでしょう。

借金は嫌い、お金は借りすぎない、そんな人物像が読み取れます。

金融リテラシー調査の質問はどれも難しくない:

これだけ正答率が低いなんて、金融リテラシー調査の質問はどれも難しいんじゃないか?と思われるかもしれませんが、中身を覗いてみると比較的カンタンなものばかり(下記はその例)。

  • 100 万円を年率 2%の利息がつく預金口座に預け入れました。それ以外、この口座への入金や出金がなかった場合、1 年後、口座の残高はいくらになっているでしょうか。利息にかかる税金は考慮しないでご回答ください。
  • では、5 年後には口座の残高はいくらになっているでしょうか。利息にかかる税金は考慮しないでご回答ください。(4択問題)

ある程度、金融知識がある人であれば間違いようのない質問が多いですよ。興味がある人は5問限定ですがこちらから挑戦あれです。

金融知識向上がキャッシュレス社会を作る:

タッチ決済OKの張り紙を写した画像

最後に。

今回の統計結果を踏まえ、金融広報中央委員会ではキャッシュレス決済の推進について下記のようなコメントを残しています。

こうしたことから、キャッシュレス決済を推進する上で、ポイント等特典をより大きくする、利便性を高めるといったことが有効と考えられるほか、個々人の金融リテラシーの向上が、間接的にキャッシュレス化を推進する可能性も示唆される。

つまり国全体のキャッシュレス決済比率を高めていくためにはポイントをたくさん付与するだけでなく、金融教育を強化することが重要ですよ…ってことなんですが、あれあれ、前者はキャッシュレス消費者還元事業等を通して強化できたものの、後者の金融教育のほうが疎かになってる感じ。

  • ポイント還元:キャッシュレス消費者還元事業で強化済
  • 金融教育:顕著な動きは特になし

このままキャッシュレス決済が普及していくと過剰なショッピング利用や債務超過など、お金に関するトラブルが無数に発生してしまうのは火を見るより明らかなので、是非、日本政府にはお金の教育も同時並行でお願いしたいものですね。

当サイト『クレジットカードの読みもの』でも引き続き、お金で不幸になる人を1人でも減らせるようにクレジットカードや電子マネー等に関する情報発信を頑張っていこうと思います(当サイトの熱い思いはこちらのページ参照)。

以上、現金払いにこだわる人は、お金の知識が足りない傾向あり!そんな驚きの統計結果が、金融広報中央委員会の金融リテラシー調査に存在…という話題でした。

参考リンク:

この機会にクレジットカードの知識を付けたい方は下記ページを参考に。支払い方法から保有するためにかかる費用まで、専門家がわかりやすく解説しています。

news.cardmics.com

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