いよいよ2019年10月1日から開始される、日本政府によるキャッシュレス決済のポイント還元事業。
キャッシュレス消費者還元事業とはクレジットカードや電子マネーといったキャッシュレス決済の普及を目的にした政策で、それらの支払い方法を利用する人には5%分の還元を与えようというもの(公式はこちら)。
キャッシュレス・消費者還元事業は、2019年10月1日の消費税率引上げに伴い、需要平準化対策として、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引上げ後の9カ月間に限り、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援する事業です。
対象となるお店は個人商店やレストランといった小規模店舗が主になりますが、それらのお店でクレジットカード払い等を使うだけで現金払いよりも5%分お得になる形となります。
- 現金で1万円支払い:
1万円の支払いを現金でした場合には還元はなし
- カードで1万円支払い:
1万円の支払いに対して500円分の還元が得られるので実質9,500円に
まぁとにかく、10月1日以降はクレジットカードや電子マネーを使うと5%分、支払い金額が安くなる可能性がありますよ…って感じで理解しておけばOK。
それだけで消費税増税分を超える5%分の節約になります。
キャッシュレス消費者還元事業について:
正直、盛り上がっていない:
そんなお得なキャッシュレス消費者還元事業なんですが、正直、あまり盛り上がっていない感じなんですよね(苦笑)
これはまだ10月1日になっていないから…と信じたいところですけど、店先に下記の赤いステッカーを張り出しているお店もまだ少数。
このままだと政府が2019年度に計上した、2,789億円という予算に相応する効果が得られないんじゃないかと心配になるほどです。
Twitter民も総じて懐疑的:
これはもしかすると私がそう思ってるだけで、世間的には盛り上がっているのかも…思い、念のため、Twitter上でもアンケートを実施してみましたが、結果は下記の通り(当該ツイートはこちら)。
- 大成功する(一気に浸透する):3%
- 広く浸透するが大成功までは行かない:16%
- 少しは浸透するが影響は小さい:57%
- まったく成功しないと思う:24%
合計1,302名の方に回答をいただきましたが、そのうち、81%もの方がキャッシュレス消費者還元事業の効果を懐疑的に見ていることがわかります(影響が小さい+効果無しを合計した比率)。
登録店舗も全体の30%ほどと推測:
加えて、お店を経営している経営者層にもキャッシュレス消費者還元事業はあまり浸透していない感じ。
経済産業省はキャッシュレス消費者還元事業の対象となりうるお店を200万店舗と見積もっているものの、実際にキャッシュレス消費者還元事業への参加を申請した店舗は全体の30%ほどの58万店舗だったことがわかっています(引用はこちら)。
10月1日からの消費増税にあわせて始まるキャッシュレス決済へのポイント還元策について、経済産業省は6日、参加を申請した中小店舗が全国で約58万店(5日時点)になったと発表した。
制度開始時に参加するには6日までの申請が必要で、約60万店でのスタートになる見込みだ。全国の約200万店が参加可能とされ、その3割にとどまることになる。
その後、経済産業省から公式リリースがあり、9月25日時点で72万店舗が申請したとのこと、そして10月1日からは審査を通過した50万店舗で利用可能になることが判明してますが、重複して申請をしているお店も多いようなので、実数としては30~40万店舗になっちゃう可能性が高いように思います。
加盟店数として比較するなら、Suicaが使えるお店と同じくらいの店舗数で2~5%還元が受けられる、そんなイメージですね(Suicaの加盟店舗数は約30万店舗)。
キャッシュレスという言葉自体が難しい:
そもそもの話、キャッシュレスという言葉自体、ここ数年の間に普及した言葉であって、万人が即座に理解できる言葉ではありません。
だからテレビでキャッシュレスについての解説がされたとしても、どこかこう、『自分とは関係がない話だ』と思ってしまう方が多くなってしまうため、効果的にそのお得さを広めることが出来ていない背景もありそうな気がします。
- クレジットカード:わかる
- 電子マネー:まだわかる
- キャッシュレス:わかりにくい
だからまずはキャッシュレスとは何かを解説するところから。キャッシュレス消費者還元事業を成功させるには、兎にも角にもここからがスタートなのかもしれません。
わかりにくさを解消しないと盛り上がらない:
そんなこんなで現時点では盛り上がりに欠けてしまっている、政府によるキャッシュレス消費者還元事業。
今のままだと従来からクレジットカード決済やらスマホ決済を使いこないしてるキャッシュレス派ばかりが恩恵を受け、現金主義な方たちにはなんの変化ももたらさない事業になってしまう気がするので、政府には是非、さらなる広報をお願いできればな…と思います。
- 従来からキャッシュレス派:恩恵あり
- 従来から現金主義:変化なし&恩恵なし
とにかく現金主義な方々にまったく響いていない現状を変えないと、成功は見えません。
5%還元という表現を変えて欲しい:
その上で個人的に思う改善案は、『5%還元』をもう少しわかりやすい表現に変えたほうが良いんじゃないかなという点。
これ、頭が良い人からするとまったく理解できないのかもですが、この世の中、パーセンテージの計算が得意な人ばかりじゃないんですよね。
たとえば10万円の5%はいくらか…という質問に対して、即答できる人はたぶん全体の30%程度。
残りの70%はしばらく考えて5,000円と回答するか、桁を1つ間違えて500円という誤答を出してしまうように思います(試しに身近な方に質問してみてください)。
- 全体の30%:パーセンテージの計算ができる人
- 全体の70%:計算が苦手、出来ない人
わかりやすい表現を増やしてほしい:
だから消費者目線のわかりやすい表現に変えるだけで、キャッシュレス消費者還元事業への理解が深まる可能性大。
『クレジットカードや電子マネーで支払いをすれば1万円の買い物に対して500円分お得になります』といったような表現を店頭に掲げてもらうことができれば、計算が苦手な方にもキャッシュレス決済のお得さがアピール出来るんじゃないかなと思います(下記の図解のようなポスターが必要ということ)。
以上、キャッシュレス還元事業はこれじゃ成功しない?もっとお得さをわかりやすくしないと、キャッシュレス決済普及には繋がらなそうです…という話題でした。
参考リンク:
『キャッシュレス、キャッシュレスとうるさいけど、別に現金払いのままで不便してないんだから現状のままでいいじゃん!』という方は下記記事も参考に。
なぜ政府が今、キャッシュレス決済を普及させようとしているかがわかります。