PayPayが100億円あげちゃうキャンペーンをはじめればヤマダ電機やビックカメラで買い物をし、LINE Payがローソンで20%還元をはじめればスマホ片手にコンビニに買い物に行き、Origamiペイが吉野家で半額キャンペーンを実施すれば牛丼を食べに行く。
そんな感じで最近じゃ、キャッシュレス決済各社がふるまうポイントに群がる「キャッシュレス・イナゴ」が増えている感じがありますよね。
まぁそういう私もそのイナゴの中の1匹なのであんまりあーだこーだ言う資格もないのかも…ですが、こう、すこし群れの外側からこの動きを見てみると、なんか同じ人がPayPay、LINE Pay、Origamiペイなどなどのキャッシュレス決済をキャンペーンに合わせて使い分けてるだけな感じがすごく強い。
- キャンペーンがある時:使う
- キャンペーンがない時:使わない
要するに同じパイを取り合ってるだけで、パイ全体の面積がそんなに大きくなってないような感覚を受けるのです。
キャッシュレス決済を取り巻く動きについて:
興味がない方はピクリとも動かない:
実際、私が管理しているツイッターアカウントでアンケートを実施してみたところ、PayPayの第2回100億円あげちゃうキャンペーンに積極的なのは10.2%のみという結果に。
- 10.2%:上限限界まで使う予定
- 45.9%:使えたら使うかな…という程度
- 43.9%:使う予定なし(興味ない)
しかもこの結果は私のアカウント「クレジットカードの読みもの」という、クレジットカード等のキャッシュレス決済に興味がある方が主な回答者なのにも関わらず、半数近くの方がまったく利用する予定がないと回答したはちょっとした驚きでした。
ご覧のようにキャンペーンを積極的に使おうとする人と、キャンペーンにまったく興味がない人が真っ二つに分かれてる、そんな感じです。
キャンペーンがあるから利用してるだけ:
加えてPayPayの100億円あげちゃうキャンペーンに対して積極的な方は、LINE Payやd払いといった他のスマホ決済のキャンペーンにも非常に敏感。
Yahoo!のリアルタイム検索で試しに「PayPay LINE Pay」や「PayPay d払い」といった複数のスマホ決済名を入力して検索してみると、出るわ出るわ、どちらがお得なのかというツイートが…。
こんな風に多くのスマホ利用者がキャッシュレス決済各社のキャンペーンを渡り歩いている状況があるので、ほんとうの意味でのPayPay愛用者、LINE Pay愛用者、d払い愛用者などはごくごく少数なのではないでしょうか?
便利だから使っているのではなく、お得だから使っているに過ぎません。
スマホ決済の未来に懐疑的な人も多い:
これだけだとちょっと裏付けが乏しかったので、昨日、もうひとつアンケートを取得してみました。『5年後のスマホ決済はどこの業者が勝ち抜いていますか?』という質問への回答結果です(詳細はこちら)。
- 16%:PayPay
- 31%:LINE Pay
- 20%:その他(楽天ペイやd払いなど)
- 33%:キャンペーンが終わればどれも衰退
かろうじてLINE Payに期待している方が多いなぁという印象は受けますが、それ以上にキャンペーンが終わってしまえばスマホ決済を使わない…という回答が多かったのは予想通りというかなんというかでした。
その上で寄せられた下記ツイートの意見には私も納得。
一旦衰退しそうだが、最終的になんだかんだギリ2%とか薄利でもやっていける体力のある企業と使える店の普及度とポイントとカード残高の融通度合いで決まりかな。
— ハカセ (@sakanahakase) March 16, 2019
その点、LINE Payと楽天系列(ポイント、カード、Edy、ペイ)がリードの印象。PayPayは囲い込み型なのでキャンペーン終わるとキツイ。 https://t.co/m7Go9zDVeQ
残るとしたらLINE普及率の高いLINE Payか、楽天経済圏が強い楽天ペイだけで、キャンペーンで囲い込みをしているだけのPayPayはちょっと厳しめですね。なにか他のメリットでも出来ない限りは、使う理由がありません。
日本のスマホ普及率の低さもネックになる:
ついでにいうと日本の場合はガラケー普及率が未だに高いのもネック。
- 他の国:主にスマホのみが普及
- 日本:ガラケー利用者が根強く残る
年配者を中心にガラケー利用者が根強いことを考えると、スマホ決済が完全普及するにしても10年先とかになっちゃいそうな気がします。
私の母もキャンペーンに無関心:
私の母は60代ですがiPhone利用者。
そのため、PayPayでもLINE Payでも自由に使える状況があるんですが、そんなことはどこ吹く風で未だにコンビニでは現金払いです。
もちろん私は『PayPayやLINE Payを使うと20%分、安く買えるんだよ!』と伝えてはみるものの、なんだかよくわからないから…という理由で支払い手段を変える予定はないとのこと。
それでいて日々、やれ電気代がもったいないだの、水道代がもったいないだので騒いでいるのですから、私からするとよくわかりません(苦笑)
「入り口」は確かに広がったけれども:
まぁ、こんな記事を書くと、『おいおい、私は今までクレジットカードも電子マネーも使ってこなかったけど、今年、PayPayを使い始めたぞ!』とか、『クレジットカードは嫌いだけど、LINE Payなら割り勘もカンタンだし重宝してるよ!』って反論が飛んでくるはず。
確かにおっしゃるようにPayPayやLINE Payが大規模なキャンペーンをしてくれたおかげでキャッシュレス決済への入り口が広がったのは事実なのですが、その広がった入り口に、この先どれだけの利用者が入ってくるのかどうか。
- 祖父母は使う予定があるか
- 両親は使う予定があるか
- 職場の同僚は使ってるか
ここを私は危惧してるんです。
お得さで利用者を動かしても意味なし:
また、キャッシュレス決済を利用する理由がお得だから…という理由のままでは、冒頭のように、キャンペーンを渡り歩く「キャッシュレス・イナゴ」の群れを右へ左へと動かしているだけ。
そうじゃなくて、いかにキャッシュレス決済って便利だなぁと、利用者側だけでなく店舗経営者側も実感してもらうことが重要なので、是非、PayPayやLINE Payといった大金と投じている業者さんには、その辺を刺激できるようなキャンペーンを展開してもらえると嬉しいですね。
- お得さをアピール:一時的な効果しかない
- 便利さをアピール:長期的な効果が見込める
例をあげれば50代、60代向けのキャンペーンがあってもいいと思いますし、楽天のようにスタジアム全体をキャッシュレス化して強制的に現金を使わせないなどのイベント実施にお金をかけたほうが、ほんとうの意味でのキャッシュレス化に繋がっていく可能性が高いように思います(楽天の施策はこちらを参照)。
神戸やプロ野球・楽天イーグルスを保有する楽天グループが取り組む「スタジアム完全キャッシュレス化」の初戦。
この日からノエビアスタジアム神戸(以下、ノエスタ)では現金決済が不可となり、クレジットカードや楽天グループの電子マネー、スマホ決済のみ使用可能となった。
(中略)
グッズショップで働いて3年目という女性スタッフは「(決済の流れは)簡単になりました。キャッシュレスにあたって特別なことはしませんでしたが、特に困っているお客様もいません」と順調に進んでいる様子。
イニエスタ選手を見るべく愛媛県から来た会社員の男性は楽天ペイで選手Tシャツを購入していたが「事前の告知は聞いていたので困ったことはありませんでした。楽天ペイは初めて使いましたが、暗証番号の入力もないのでクレジットカードよりも便利」と笑顔を見せていた。
これなら普段、現金払いを使っている人にもキャッシュレス決済を体感してもらえるので、長い目でみれば、大きな効果を生み出してくれることでしょう。
以上、PayPayやLINE Payのキャンペーンを渡り歩く「キャッシュレス・イナゴ」。お得さをアピールしても、キャッシュレス決済は普及しません…という話題でした。
参考リンク:
これだけ多彩なキャッシュレス決済が浸透している現在でも、ファミマやローソン等では約75%の方が現金払いだと言われています。
- 75%:コンビニでは現金払い
- 25%:クレカや電子マネー、スマホ決済を利用
この理由について調べてみた情報については下記記事を参考にどうぞ。コンビニで現金払いを使っている人たちの理由がわかります。