クレジットカードの読みもの

専門家がクレジットカードや電子マネーをわかりやすく解説していくサイトです。

なぜカード決済を普及させなくてはいけないのか?別に現金払いのままで良いじゃないか…という方のために、その6つの理由をまとめてみる。

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クレジットカードと図形を写した画像

このサイト「クレジットカードの読みもの」では度々、クレジットカードが普及していかない現状をなげく記事を書いているのですが、こういった記事を書くと『なぜそこまでしてクレジットカードを普及させたいのかわからない。別に現金払いのままでいいじゃん』といった意見をいただくことがあります。

確かにおっしゃるように今現在、クレジットカードや電子マネーなんぞが普及しなくても日本国内では現金払いのみで充分に回っているので、この状況を変える必要性がない…という意見はごもっとも。

それはその通りだと思います。

しかし、日本政府が2027年までに電子決済比率を現状の18%から40%に引き上げようとしているように、現金払いがメインの現状では経済活動に「ひずみ」が出始めてしまっているのも事実。

どこかのタイミングで電子マネーやクレジットカード払いを主流にしなくてはいけません(引用はこちら)。

金融庁と経済産業省は、クレジットカードなどでお金を払うキャッシュレス決済比率を10年間で40%に引き上げる。

東京や京都といった訪日外国人が多く集まる都市にある宿泊施設や商店街、観光地で決済端末を完全配置するようにし、設置への支援の枠組みを新たにつくる。

米国並みの水準への引き上げで、現状から2倍に増やす。

そこで今回は参考までに、なぜ電子決済を比率を高めなくてはいけないのかを解説。

カードなんて使いたくないから現金払いのままでもいいじゃないか…と思っている方は是非、この記事を参考にしてみてください。カード決済比率の向上が経済に与える影響がわかるようになりますよ*1

現金払いは生産性を落とす:

現金払いがなくなれば人件費は下がる:

現金払いが経済活動の足を引っ張っている事例はたくさんありますが、一番わかりやすい例としては東京の日本橋に誕生した現金払いお断りファミレス「Gathering Table Pantry」の出店意図を理解するのがカンタンなのかも。

こちらでは会計をレジで行うのではなく、店員が持ってきたタブレット端末を使って支払いをする仕組みのため、従来かかっていた会計処理時間の短縮につながるとのこと。

また、10円玉や5円玉といった釣り銭を用意する手間や、閉店後に売上を貸金庫に預けに行く作業が不要になるなど、現金払いの除外によって得られる業務効率改善は他にもたくさん。

  • 会計遅延:現金の用意や釣り銭の渡しに時間がかかる
  • 釣り銭用意:10円玉や5円玉の用意は大変
  • 現金管理:貸し金庫へ預けに行く手間がかかる
  • 集計作業:レジ締めで現金残高を確認する必要あり
  • 紛失リスク:労働者による1万円札窃盗や強盗対策も必要

こうして各業務にかける時間が削減され、結果として人件費の圧縮に繋げられるのです(朝日新聞より引用)。

現金の管理を完全になくすなどして従業員の作業効率を上げ、深刻化する人手不足に対応する狙いだ。(中略)

注文はテーブルのタブレット端末から。代金も同じタブレット端末で、電子マネーやクレジットカードを使って支払う。店舗運営の作業が減ることで、約40席の店を3人で運営できるとロイヤルHDはみている。

要は現金を除外するだけで経営効率が大きくアップするってこと。うまくいけば店員を1~2人減らすことだって可能でしょう。

手数料を負担してでも電子決済を推奨:

こう書くと『いやいや、クレジットカードや電子マネーをお店で使ったら、お店は手数料を負担しなくちゃいけないわけだから迷惑でしょ!』と思われるかもしれませんが、現実はその費用負担よりも受けられるメリットのほうが大きい状況があります。

論より証拠、大手コンビニのファミマでも電子決済を増やそうと計画中。

下記引用部分のようにファミマの社長自らが、現金払いよりもクレジットカードや電子マネーを使わせようとしているほどです(朝日新聞の元記事は削除済み)。

高柳社長は「金融技術に強い専門家が少なく、伊藤忠の力を借りたい」と説明。

ファミマでは、まだお客の9割弱が現金で「電子マネー化を進められれば、お釣りのやりとりなど店側の負担も減らせる」と述べた。

つまり店側に迷惑がかかるからクレジットカードを使わないようにしよう…は間違いで、店側が助かる電子決済はどんどん使おう…というのが正解

店舗に気を使って現金を使う必要性はないのです。

物流&配送だって電子決済の恩恵を受けてる:

現金払いの取扱があるだけで生産性が落ちているのは、小売店やレストランだけではありません。

たとえば佐川急便やクロネコヤマトでは代引きサービスを提供していますが、あれだって代引きに対応するために配達員ひとりひとりに釣り銭を持たせる手間が発生。

  • 代引き決済:
    釣り銭の用意や、配送員ごとの売上管理作業が必要になる
  • ネット決済:
    配送員は荷物を届けるだけでOK、玄関先への置き配も楽ちん

仮にネット決済でクレジットカード払いしておいてくれたらそんな作業は不要なわけですから、これも立派な「生産性の低下」だと思います(場合によっては釣り銭不足によって営業所に戻らなくちゃいけない場合もある)。

交通機関も同様:

ほかにもSuicaやETCカードといった電子決済が普及した結果、駅改札や高速道路の料金所に人員が不要になったのも現金払いがなくなった恩恵のひとつ。

  • SuicaやPASMOの普及:
    駅改札にいる駅員や券売機の設置数を削減できる
  • ETCシステムの普及:
    高速道路料金所スタッフの削減

また、ETCカードの普及は、高速道路の料金所渋滞を減らす効果ももたらしてくれたので、日本経済にとっては計り知れない恩恵があったのではないでしょうか?

トラックや自動車がスムーズに動けば、そのぶんだけ経済が回りやすくなります。

銀行振込は確認がとにかく面倒:

ネット通販では銀行振込でも代金の支払いが可能ですが、これも店舗側の生産性を下げる要因になっていたりするんですよね。

お客さんによっては購入名と別の名義で振り込んでくる人がいたり、指定金額をズラして振り込んでくる人などがいるため、店舗側からすると『うーん、この○○名義の振込は一体、誰からの振込なんだろうか?』と小一時間悩むことも。

その点、クレジットカード決済をしてくれると注文と同時に支払いが完了するので、入金確認の手間が不要になるメリットあり。

  • クレジットカード払い:支払い確認がラク
  • 銀行振込:支払い確認が大変、金額間違いも多い

通販会社はそのまま商品を発送すればOKなので楽チンです。

現金払いは時間的な損失がある:

ストップウォッチとクレジットカードを写した画像

カード決済を普及させなくちゃいけない理由、その2は「キャッシュレス決済のほうが決済スピードが早い」からです。

国際ブランドのVisaによると、電子マネー決済と現金払いを比べると約8秒程度の差があるとのこと(Visaの調査結果)。

  • 現金払い:平均12~14秒
  • 電子マネー払い:平均4~6秒

Visa payWaveの詳しい紹介に立ったビザ新技術推進部ディレクターの鈴木章五氏は、店頭での商品購入時にかかる時間のシミュレーション結果を公表。

現金支払いの場合は12~14秒ほどかかるのに対し、Visa payWaveを利用した場合は4~6秒と、すでにあるプリペイド型の電子決済サービスや、ドコモのiD、QUICPayといった後払い方式と同様、大幅な決済時間の短縮が見込めることを示した。

この差を縮めるためにキャッシュレス決済の普及が待たれるのです。

会計が早くなれば人件費削減に繋がる:

こう書くと『そんなん言うても10秒くらいの差でしょ?そのくらい文句いわずに待ちなよ』と思われるかもしれませんが、コンビニのような1日何百人もお客さんが押し寄せるお店では、この差だけでレジ打ちスタッフの人件費を1人分削れる可能性あり。

  • 現金払い:時間がかなりかかることも
  • カード払い:決済スピードが早い
  • 電子マネー払い:決済スピードが早い

とりわけ都市部のコンビニでは昼飯時ともなると長い行列が出来るんですが、これも電子決済比率が高まることで解消できる可能性がありますからね。

仮にそれによって『コンビニで昼ごはんを買いたいけど、あの行列に並ぶの嫌だな…』と思う方がすこしでも減れば、コンビニの売上アップは間違いありません。

レジに張り付く店員も減る:

他にもランチタイムに押し寄せるお客さんに対応しようと、レジに張り付く店員さんの負担を減らせるメリットもありそうな感じ(入り口のレジに立ったまま他の作業をしていない店員さんのこと)。

なにせSuicaや楽天Edyでピッと支払いを受け付ければ、その分だけ他の作業に時間を回せるわけのは間違いなし。

小規模な飲食店でも電子決済導入による人件費削減効果は期待できるのです。

急いでいる時の支払いにも:

他にも電車に乗る前に急いで買い物をしたい時、前のお客さんの支払いが遅くて買いたいものが買えなかった…なんてことも、お店からすれば立派な機会損失。

  • 現金払いのみ:買いたいものを買えないお客さんが増える
  • 電子決済OK:買いたいものを買えないお客さんが減る

明確な統計データがあるわけではありませんが、たぶん日本経済全体で考えると現金払いの決済スピードによる損失は膨大なものになると思われます。

たかが数秒であっても馬鹿にはできません。

タクシーだって乗客数が増える:

SuicaやWAONなどの電子マネーが普及する恩恵は、タクシー運転手にも影響を与えます。

ご存知のようにタクシーは乗客を乗せてナンボの商売。

支払いにどんなに時間を費やしたとしても1円の利益にもならないので、決済スピードが早くなればなるほど次のお客さんを探す時間に回せるメリットがあります。

  • 現金払いのみ:会計でもたつくので時間をロスする
  • 電子決済OK:会計がスムーズなので時間効率が良い

加えてタクシー内にある現金の量が減ればタクシー強盗対策にもなるなど、現金決済が減ることによって受けられる恩恵は多数。

そのせいか最近ではサインレスでクレジットカードが使えるタクシーなんていうのも登場していますよ(クレディセゾンが京王タクシーなどと提携して実施中)。

税の徴収率を高められる:

お金と日経新聞の画像

クレジットカードや電子マネー決済が普及することによる社会的な恩恵、3つ目は税の徴収率を高められる点です。

下記は2014年12月に炎上した某記事(すでに削除済)の一文ですが、一部の居酒屋やレストランでは税金対策としてクレジットカードを使わせないようにしているところがあります。

何人かのオーナーに、カード不可にした理由をうかがいました。「売上は誰にも知られたくないので」(中略)などなど、でした。

売上を推察されたり、把握されたりする材料を与えたくない⇒税金対策

まぁ「税金対策」なんてきれいな書き方をしてますが、お店の売上&利益をごまかす行為はれっきとした脱税。

要はほんとうの売上よりも売上を少なく見せて、税務署に納税する税金を減らそう…という意図があるのです。

カード払いを使われると売上がバレやすい:

ではなぜクレジットカードを使われると困るのか、それはカード会社から銀行口座に振込履歴がしっかり残ってしまうため。

その点、現金払いでのみ食事代金を徴収すれば外部からの売上確認が難しくなるので、現金払いは脱税をもくろむ経営者にとってうってつけなんです。

  • クレジットカード払い:
    カード会社からの振込履歴が残ってしまうので売上がバレやすい
  • 現金払い:
    お金の動きが履歴として残らないため売上が税務署からバレにくい

やり方は客からもらった1,000円札をそっとポケットに入れるだけ。これで形跡はほとんど残りません。

ラブホテルなどでも問題化:

こういった売上をごまかす行為は居酒屋以外にも。

つい最近ではラブホテルが売上をごまかしていて、税の徴収が大変だという記事が話題になっていました(こちらより引用)。

現金での支払いが多いうえに、領収書の発行がないことがほとんどの「ラブホテル」。

一般のホテルに義務付けられている宿泊者名簿の記載もほとんど行われないため、容易に売上げの偽装ができてしまうことが懸念される。ラブホテルの脱税を税務当局はどのように見抜くのだろうか。(中略)

「ラブホテルが脱税する方法としては大きく2つ挙げられます。それは売上除外か経費の架空計上です。

風俗店、特にラブホテルにおいて多い脱税方法としては売上除外がよく用いられます。現金商売であるため、売上をごまかしやすい状況が必然的にできてしまっている点が、ラブホテルの特徴として挙げられます。

実際、国税庁が毎年、発表している『申告漏れ所得金額の上位10業種』で、毎年ランクインしている業種が風俗業関連です」

このように現金払いが多いビジネスだと売上がカンタンにごまかせるために、ほんとうに徴収すべき税金の金額よりも少なくしか徴収できない状況があるんです。

50%しか税金を徴収できてない?

もちろんすべての経営者が脱税しているとは言いません。

しかし、税務署にはトーゴーサンピンという言葉があるくらいなので、税務署としては自営業者からだいたい50%くらいしか税金を徴収できていないと思っているようですね(こちらより引用)。

トーゴーサンピン(10:5:3:1)とは

トーゴーサンピン(10:5:3:1)とは、実際に存在する所得の大きさが10であるとして、そのうち税務署などが把握している割合が次のようになっていることをいいます。

  • サラリーマンなどの給与所得は10割
  • 自営業者などの事業所得は5割
  • 農業や水産業、林業を営む事業者の所得は3割
  • 政治家の所得は1割

そのため、仮にクレジットカードや電子マネー決済が広く普及をし、現金払いの比率が激減したとしたら、それだけで日本政府の税収はグンと増えることでしょう(だからこそ日本政府としては電子決済比率を高めたい思惑がある)。

海外では現金による高額取引を禁止する国も:

ちなみに、ヨーロッパのフランスでは1,000ユーロ、日本円にして約13万円以上の現金取引を禁止しています。

フランスでは、これまで現金決済を認めていた上限額を引き下げて、今後は1000ユーロ以上の現金決済は認めない方針を決定した。(中略)

対象となるのはフランス国内の商店や小売店がかかわった場合だという。そうなるとパリを訪れた日本人観光客がお目当てのブランドショップで何か買い物をして、1000ユーロ、日本円で約12万9000円以上の買い物をする際にも、カードなどで決済する必要が出てくることになる。

なぜ、このような規制が設けられるようになったのかというと、まず思い浮かぶ主な理由は脱税行為の防止である。(中略)

レジの記録を通さずに代金のやり取りを行えば、売り上げの記録が残らず、売り上げの除外がしやすくなる。フランスは2014年に、日本の消費税に当たる付加価値税を19.6%から20%に引き上げる計画だが、売り上げを除外してしまえば、法人税だけでなく、その付加価値税の納付も逃れることができてしまう。それに税務調査が入った際の脱税行為の証拠探しも難しくなる。

これはここまで解説してきたように、現金決済が不正の温床になるため。

フランス政府として正しく納税してもらうためにも、クレジットカードや電子マネー決済をしてもらうことこそが重要と判断したってことですね。

尚、この現金決済廃止によるフランス政府の増収見込みは、日経新聞によると約10億ユーロにもなるとのこと。

逆にいえば毎年、現金決済によって10億ユーロ(約1,300億円)も脱税されていた…と考えることも出来るので、日本でもクレジットカード決済や電子マネー決済が増えていけば、同様の増収効果が期待できるものと思います。

現金払いのみが普通な状況に変化を:

『電子決済が普及したほうが脱税を撲滅できるってことはわかったけど、お店が電子マネーやクレジットカード決済を導入してくれなかったら意味ないでしょ?』と思われるかもしれませんが、これは世の中の状況次第。

たとえばアメリカではほぼすべての小売店やレストランでクレジットカードが使える理由は、クレジットカードが使えることが普通だから。

日本では残念ながら「現金払いのみのお店=普通」なので、クレジットカード払いを導入するお店がなかなか増えていかない事情があるように思います。

  • アメリカ:カードが使えない店=おかしい
  • 日本:カードが使えない店=普通

この辺はもう日本人が積極的に電子決済を使い始めることでしか改善できないものなので、クレジットカードが使えるお店がもっと増えてほしいと願うなら、兎にも角にも電子決済を使うほかなし。

そうしてクレジットカードや電子マネー決済が普通になっていけば、ある日突然、クレジットカード決済くらい当たり前だよね…という世論に変わる日が来るものと思いますよ。

電子決済なら支払いをデータ化できる

ずらりと並ぶ支払い金額の画像

電子決済を普及させたほうがいい理由、4つ目は支払いをデータ化できる点。これについてわかりやすい例をあげると、会社の交通費精算がありますね。

経費精算がキャッシュレス決済で楽になる:

あれ、昔は手書きやエクセルなどに自分が使った交通費一覧を作り、経理に提出して精算してもらう必要性があったんですが、その作業に1ヶ月のうち何時間も時間を取られてしまう状況がありました(経理担当としても手書きで提出された精算書を元に経費精算するのが大変だった)。

それが今ではSuicaやPASMOの利用履歴を使ってカンタンに精算できるように。

  • 昔:交通費は交通費精算書に記入して精算
  • 今:SuicaやPASMOの利用履歴で精算

会社によっては社員個別に交通系ICカードを発行してくれるので、精算作業すら不要になった企業もあると思います。

支払いがデータ化されるだけで作業効率アップ:

このように支払いをデータ化できると、作業効率が劇的に向上するメリットあり。

特に私のような経理業務を自分で兼任している個人事業主なら、1円の利益にもならない経理作業に時間をかけても意味がないので、極力、現金ではなく電子マネーやクレジットカードで支払いをするようにしています。

  • 現金払い:
    後日、領収書を元に経費の記帳が必要(利用金額や日時、支払い相手の情報を入力する必要性あり)
  • カード払い:
    支払いがデータ化されてるので、そのまま会計ソフトに入力可能(ボタン1つで記帳可能)

たったこれだけで仕事に回す時間を増せるわけですから、支払い情報をデータ化出来るメリットは計り知れないです。

電子決済できないと意味がない:

ただ現状だとクレジットカードや電子マネーが使えるお店やサービスはまだまだ少ない状況があります。

それゆえに仕方なく現金払いを使うことも多いのですが、その回数が多くなればなるほど本業の時間が削られ、記帳作業に時間を回す必要性があるというのは、日本経済全体にとってもあまり良いことではありません。

  • 現金払いのみのお店:
    現金で払うしかないから、経理業務に時間がかかる(極力敬遠したい)
  • カード払いOKのお店:
    カードで支払えるから経理業務がラクになる(積極的に使いたい)

イメージするならSuicaやPASMOが使えずに、都度都度、切符を購入してから電車に乗るようなものですね。

切符を購入する時間もムダなら、その費用を会社で精算する時間もムダです。

電子決済できるお店が増えれば生産性があがる:

そうではなく、やはり理想はすべてのお店でクレジットカードや電子マネーを使って支払いをし、経理業務に時間をかけないこと。

こんな感じで現金払いのみのお店が減らない限り、IT分野がいくら発達しても生産性があがらないのは大きなデメリットなので、日本経済全体のためにも早めにキャッシュレス化させていかなくてはいけません。

個人的には新規出店をするお店には電子決済を義務付けるなどの法令整備が、もうそろそろ必要なんじゃないかなとすら思っていますよ。

Suicaが使えるタクシーを選んで使う私:

東京都内には現在、SuicaやPASMOなどの電子マネー払いが使えるタクシーと、それらの電子マネーが使えないタクシーがだいたい半々くらいいるんですが、個人的には会計処理時間を考えて敢えてSuica払いOKのタクシーを選んで使っています。

  • 現金払い:小銭のやりとりが手間&経費処理が面倒
  • Suica払い:支払いがラク&経費処理がラク

仮に現金払いやクレジットカード払いしか使えないタクシーにあたってしまった場合はハズレ。

心の中で『会計処理が面倒だなぁ…』と憂鬱な気分になる最近です。

日本の観光産業を活性化できる:

新大阪駅にあるたこ焼き屋の画像

日本にクレジットカード決済を普及させなくてはいけない理由、5つ目は外国人観光客への対応です。

ここのところ少しは改善されてきていますが、神社・仏閣にいけば入場料が現金払いのみだったり、お守りや御札購入でカード払いが使えなかったりと、外国人観光客にとって優しい状況があるとは言えません。

また、飲食店や小売店でも同様で、京都や広島などの外国人観光客が好んで来訪する観光地でも現金払いのみのお店のほうが圧倒的に多いですね。

最近も京都駅の中で売ってる駅弁が現金払いのみだった…という批判が、中国のニュースで話題になったくらい(引用元はこちら)。

このほど訪日した韓国人が「外国人客が多い京都でこれはあんまりだ!」と、憤慨したエピソードをインターネットの掲示板につづった。

京都駅で駅弁を買おうとしたという投稿者だが、ある事情で駅弁を諦め、近くのコンビニエンスストアで売られている弁当で間に合わせた。

この弁当も「味は満足」できたそうだが、不満は、クレジットカードを使える駅弁店がなかったことだ。

「片田舎の駅や京都の町の店ならいざ知らず、京都駅の構内の店でカードが使えないとはとても驚いた。いくらカード使用が盛んでない国だとしても、外国人も多い京都駅、しかもスーパーみたいに店がそろった場所で、これはあんまりだと思わないか?」と不満をぶちまけた投稿者に、他のネットユーザーからはなだめるようなコメントが寄せられている。

ほんと海外からの観光客が多い京都駅の構内くらいは駅弁屋、お土産屋を問わず、すべての店舗にカード決済が導入されていてしかるべきなので、JR西日本が主体となって改善すべき状況だと言えます。

外国人観光客は日本円を持ってないのでクレカ払いを好む

外国人観光客は日本円を持ってないのでクレカ払いを好む

カード決済が使えない影響も大きい:

こう書くと、ここは日本なんだから郷に入れば郷に従えだ…とか、日本では現金払いしか使えないお店が多いって外国人観光客もわかっているだろ…とか、そういうことを主張される方も多いのですが、現金決済しか出来ない損失はデータとして如実に現れているんですよね。

詳しくは下記記事をご覧いただければと思いますが、日本に訪れた外国人観光客の約7割が『外貨両替所が多かったり、クレジットカード払いが使えたら日本でもっとお金を使っていた』と回答したほど。

キャッシュレス決済が普及していない弊害データ

キャッシュレス決済が普及していない弊害データ

つまりほんとは買い物をしたいものがあったのに、日本円しか使えずに買い物を断念した事例はかなりの数になるので、観光地にあるお店それぞれが大きな機会損失を起こしているように思います。

カードが使えるのが普通な海外:

この点ついては「逆」を考えてみると面白くて、私たち日本人が海外旅行に行った時、海外での支払いをどうしているか…ってことなんですよね。

たとえばハワイでは、どこのお店でも基本的にクレジットカード払いOK。ハワイで現金しか使えずに困った経験をお持ちの方はそうは多くないのではないでしょうか?

同様に韓国、中国、香港、台北などのアジア諸国も快適そのもの。観光地でクレジットカード払いが使えずに困ることなんてほとんどありません。

  • ハワイ:外国人観光客もカードを使いやすい
  • 韓国:外国人観光客もカードを使いやすい
  • 香港:外国人観光客もカードを使いやすい
  • 日本:外国人観光客がカードを使いにくい

すくなくとも日本の主要観光地よりはクレジットカード決済導入店舗や外貨両替所が圧倒的に多いために、現金不足で困ることが稀です(お金がなくなったらATMでキャッシングも出来る)。

日本もそうなってほしい:

だからこそ諸外国と比べて日本の遅れが気になる最近。

日本もだいぶクレジットカードや電子マネーが使えるようにはなってきましたが、まだまだ外国人観光客がストレスなく支払いできる環境とは言い難いので、今後に期待したいところです。

街が一体になってカード決済を導入する例も:

日本の観光地すべてがカード決済導入に遅れを取っているわけではありません。

長野県野沢温泉村のように街ぐるみでクレジットカード決済を導入する事例もチラホラ出てきているのはひとつの光明ですね。

ただこれも国による助成金があったからこその動き。

残念ながら自治体や商工会が自腹を切ってカード決済を導入しよう…とはなっていないので、引き続き、国による支援なしには難しいのかもしれません。

技術革新を生みやすい:

新しい技術を生み出すキャッシュレス決済

日本にクレジットカード決済を普及させなくてはいけない理由、6つ目はキャッシュレス決済が普及したほうが技術革新が産まれやすいからです。

現金決済が技術革新を妨げている:

とりわけスマートフォン上で動くアプリとキャッシュレス決済の相性は抜群。

たとえば漫画アプリを作る際にはキャッシュレス決済と連携させ「続きを読むには100円分のコインを購入ください」と表示させることが出来ますし、電車の座席指定アプリを作る際にもキャッシュレス決済がないと始まりません。

  • 漫画アプリ:アプリ上で支払いできれば続きを読める
  • 新幹線アプリ:アプリ上で支払いできれば即座に指定できる
  • 音楽アプリ:アプリ上で支払いできれば曲をすぐ購入できる
  • SNSアプリ:アプリ上で支払いできれば有料会員にすぐなれる

反面、多くの人が現金払いのみを使ってる状況だったらどうでしょうか?

クレジットカードを使っていない人のためにコンビニでプリペイドカードを販売しなくちゃいけない手間が生じたり、銀行振込用の窓口を設置&入金確認をしなくちゃいけないなどなど、小規模な企業であればあるほど対応が難しくなってしまうもの。

大げさかもしれませんが、現金決済の多さが技術革新を妨げているとも言えるのです。

電子決済普及で新しいビジネスが生まれる:

また、前述のようにキャッシュレス決済専門の飲食店が産まれたり、入退室にSuicaを利用した無人コンビニが産まれたりするのもキャッシュレス決済があるからこそ(引用元はこちら)。

東京都北区にある赤羽駅のホーム上に設けられた特設店舗は、通常の売店やコンビニと異なり、入口・出口ともに無人だ。

来店者は、店舗入口で交通系電子マネーをかざして入店。商品棚から商品を手に取ると、天井に設置したカメラによりAIがこれを認識する。

出口には自動改札機のようなゲートが設置されており、ゲートの画面にAIが認識した購入商品一覧が表示される。購入商品が正しければ電子マネーで決済し、出口ゲートが開く仕組みだ。

ほかにもSuicaやPASMOの利用履歴で子供の安全を守る「まもレール」のような仕組みも存在。

まもレールとは、JR東日本、都営交通、東京メトロの改札を使った見守りサービス。

お子さまがSuicaまたはPASMOで対象駅自動改札機を通過すると、保護者へ「通過時刻・利用駅・チャージ残額」がメールで届きます。

これが現金決済のみだったらこんなビジネスモデルは誕生しなかったわけですから、キャッシュレス化が進むと各分野で技術革新が進むのですね。

そして今後も無人タクシー、ドローン配達、顔認証による自動決済などなど、電子決済普及による恩恵は多岐にわたることでしょう。

現金決済対応のセルフレジは高い:

スーパーマーケットに設置されることが増えつつあるセルフレジですが、みなさんは現金対応のセルフレジが少なめなことには気付いていましたでしょうか?

  • 多い:キャッシュレス専用のセルフレジ
  • 少ない:現金払いにも対応したセルフレジ

これは釣り銭管理等の手間が必要になる…というのもありますが、単純に小銭や紙幣に対応せざるを得ない現金対応のセルフレジは製造コストが高価だから。

その点、キャッシュレス決済専用のセルフレジだとディスプレイ画面に決済機のみをつければ良いので安く作れるメリットがありますよ。

ほかにも紙幣や小銭が詰まる機械トラブル、1万円いれたのに釣り銭が少ないなどの苦情もキャッシュレス決済専用ならありません。

電子決済をもっと普及させたい:

QRコード決済まで読み取り可能な決済機の画像

ここまでを読んでそれでも尚、現金払いでいいじゃないか…と思うのであればそれはそれでいいと思います。

人にはそれぞれ考え方がありますし、日本経済全体がうんぬんみたいな大きなことを言っても「自分には関係がない」と思う方もいるでしょう。

ただ個人的には日本が大好きで、所得税が高くてもこの国に残り、日本経済を元気にしたいと思っているひとり。

仮に現金払いが経済発展の妨げになっているのであれば、いくら現金払いが便利だとしても改善していかなければいけないと思うので、もし私の考えに1ミリでも同意していただける場合には、この記事を1人でも多くの方に届けてもらえると嬉しいです。

カード業界も情報発信していこう:

加えて、クレジットカード業界に関わっている方。

カード業界ってどこか閉鎖的で、情報発信をしていくことが苦手な業界だと思いますが、もしこの記事の内容にすこしでも賛同していただけるなら、電子決済普及の重要さをもっと広めてください。

今のままじゃ日本国内にクレジットカードを浸透させることなど夢のまた夢なので、もっとクレジットカード普及のメリットを伝えていきましょう!

既存会員にのみアピールしても、世の中のクレジットカードに対するイメージは変わりませんよ。

以上、なぜカード決済を普及させなくてはいけないのか?別に現金払いのままで良いじゃないか…と思う方のために、その6つの理由をまとめてみる…という話題でした。

参考リンク:

この機会にクレジットカードを作ってみようかなと思った方は下記記事も参考に。クレジットカードの専門家がおすすめの1枚を紹介しています。

news.cardmics.com

*1:記事タイトルはわかりやすく「なぜカード決済を普及させなくてはいけないのか?」ですけれども、実際の記事内容は「なぜキャッシュレス決済を普及させなくてはいけないのか?」です。記事を読む際はクレジットカード払いだけに限らず、電子マネー決済やQRコード決済などを含めて捉えるようにしてください。

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