市場調査を専門にしているイプソス株式会社というところが、大規模なクレジットカード利用実態調査を行ったようなので、今回はその内容について記事を書いてみたいと思います。公式リリースからの引用です。
イプソスは日本のクレジットカードの利用実態を明らかにするべく185,000人にオンラインアンケートを実施し、その結果を公表しました。(中略)
調査概要
- 調査時期:2016年11月8日~11月18日
- 調査対象者:日本全国18~79歳の男女
- サンプルサイズ:185,495名 うち151,565名が過去6ヶ月にクレジットカードの利用ありと回答
- 調査方法:オンライン調査
保有枚数ではなく利用枚数の統計データ:
今回の統計データが面白いな…と思うのは、クレジットカードの保有枚数ではなく利用枚数に関するデータであるということ。
- 通常の統計:保有している枚数を調べる
- 今回の統計:利用した枚数を調べる
18歳から79歳の185,495名を対象にオンライン調査を実施したところ、81%に当たる151,565名が過去6ヶ月以内にクレジットカードを1枚以上利用したと回答した。利用したクレジットカードは延べ300,538枚で、一人平均1.99枚(人口構成によるウェイト修正後)を利用している。
つまりクレジットカードを持っているけれども、過去6ヶ月の間に1度も使わなかった…という「持っているだけのユーザー(非アクティブユーザー)」を弾いた結果になっているので、かなり実態に近いところが探れた統計結果になっているのではないでしょうか?
過去6ヶ月にカードを利用した比率:
…となると気になるのは、過去6ヶ月の間にクレジットカードを利用した方の比率になるのですが、これは前述の通り、全体の81%に当たる方が利用していた模様。
- 185,495名のうち、81%に当たる151,565名が過去6ヶ月以内にクレジットカードを1枚以上利用した
一般的にクレジットカードの保有率は90%弱と言われるため、この利用率は異常に高いな…という気がしなくもありませんが、たぶんこれは今回の統計が「オンライン調査」だからでしょう。
要するにネットでアンケートに回答できるような層は、クレジットカード保有率も高く利用にも積極的…ということが言えるということ。ひっくり返せばデジタルに無縁な方ほど現金主義者が多いということも出来そうな気がします。
20代の利用率は低い:
では年代別の利用カード枚数はどうなのでしょうか?こちらはやはり年齢が低くなればなるほど利用率の低さが目立つ形になりました。
このあたりはJCBの統計データと合致する部分。
年代が若くなるほどクレジットカード保有率は低い傾向にあるので、その結果、カード利用率が低くなってしまうのも仕方ないところなのかもしれません(今回の統計はクレジットカード保有者に対しての統計ではなく、クレジットカードを持っていない人を含めて実施された統計のため)。
70代の利用率はなんと84%:
あと個人的に意外だったのは70歳~79歳の層でも、クレジットカード利用率が84%と高めに出ていること。
過去6ヶ月の間にクレジットカードを1度も利用しなかった方はわずか16%しかいない&3枚以上のクレジットカードを使い分けている方も1/4程度いることを考えると、もはや高齢だからクレジットカードは敬遠されるとか、クレジットカード会社が高齢者にはカードを発行しない…なんて時代ではないのかもしれませんね。
ただまぁこれも、「オンライン調査に協力できる70代の方の結果」なので、実態はもう少しは低いと想定しておいたほうが良さそうです。
年収別のクレジットカード利用枚数:
次に年収別のクレジットカード利用枚数…なんですが、下記グラフを見てもらえればわかるとおり、年収が低い方であればあるほどカード利用枚数が少なく、年収が高い方であればあるほどカードを利用枚数が多いという結果となりました。
そう、見事なまでに年収とカード利用枚数には相関性があるのですね。
クレジットカード利用者151,565名を年収別で見ると、高年収ほど利用クレジットカード枚数が多い結果となった。特に5枚以上のクレジットカードを使い分けるヘビーユーザーの比率は年収が高まるほど、高くなる。
年収が高い人はカードを使い分けている?
もちろん、年収が低い=クレジットカードをたくさん持つことが出来ない…という面があるのはわかりますが、そうはいっても年会費無料のクレジットカードであれば5枚は持てるもの。年収が低いから1枚しかクレジットカードが持てないわけではありません。
また、今回の統計は「保有枚数」ではなく「利用枚数」であるというところもミソ。つまり言い換えると年収が高い人はクレジットカードを場所によって使い分けている…ということも出来そうな気がします。
- 年収が低めの方:同じカードを使う傾向に
- 年収が高めの方:複数枚のカードを使い分ける
ちなみにこれも私としては、高年収な方であればあるほど1円単位の節約に無頓着で、『俺はこのゴールドカードしか使わないから』といったように1枚のクレジットカードのみを使う傾向にあるのかな…と思っていたんですが、結果としては真逆になりました*1。
むしろこの統計から読み取れるのは、高所得者であればあるほど『楽天市場では楽天カードを使って、ファミマではJALカード。そしてレストランではアメックスを使う』といったように、場所や支払先によってクレジットカードを使い分けている傾向に。
もしかするとそういった使い分けが出来る金融リテラシーがあるからこそ、年収が高い…ということもあるのかもしれませんね。まぁ、卵が先か鶏が先か…です。
年収別のクレジットカードグレード:
最後は参考までに、年収別のクレジットカードグレードについて。
こちらはやはり、年収が高い方であればあるほどゴールドカードやプラチナカード保有率が高い傾向にあるようです。
下記のグラフでは、利用しているすべてのクレジットカードのグレードを年収別に集計した。年収が高いほど、ゴールドカード、プラチナカードの利用率が高まり、年収が2,000万円を超える層では40%以上がゴールドまたはプラチナカードを利用している。
反面、面白いなと思うのは年収200万円未満の方でもゴールドカード保有率が8%あるということ。今やそのくらい、ゴールドカードが身近になったとも言えそうです(詳しくは下記記事などにて)。
年収を増やしたかったらお金の知識を付ける:
ここまでクレジットカードの利用実態に関する調査結果を紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
記事中でも書いた通り、年収とクレジットカードの利用枚数には関係性がありそうなので、年収を増やしたいと思う方は是非、この機会にお金の知識をもっと身につけてもらえればな…と思います(お金の勉強をしたい方は下記記事などを参考に)。
以上、年収が高い人ほど、多くのクレジットカードを使い分けている結果に?イプソス株式会社がクレジットカード利用実態調査の結果を発表…という話題でした。
参考リンク:
クレジットカードをまだ作ったことがない…という方は、下記記事も参考に。はじめてのクレジットカード作成に役立つ知識や、おすすめカードをまとめていますよ。
*1:年収が1,500万円以上になってくると、年収とカード利用枚数の相関関係が崩れてくるので、もしかするとある一定以上のセレブになると、また1枚のクレジットカードを使いまわす…という傾向もあるのかもしれませんね(5枚以上のカードを利用する比率はむしろ伸びているので、二極化していくとも言える)。