今回はわかっていそうでわかっていない、クレジットカードの分割払いに関する知識をまとめてみたいと思います。
『とりあえず分割払いってほら、支払い金額を何回かに分けて支払えるものなんだろ?』という程度しかわかっていない方は、この機会に分割払いのしくみや手数料を学んでみてください。
金利が発生する支払い方法ではありますが、使い方次第で家計を助けてくれる支払い方法にもなるはずですよ。
分割払いの基礎知識:
分割払いとはなにか:
まずは分割払いの基礎知識からです。
分割払いとは文字通り、支払いを分割しておこなう方法のこと。たとえば3万円の支払いを3回払いで購入する場合には、1万円を3回払うことで合計3万円を払うことになります。
3万円を3回払いで払う場合:
- 1ヶ月目:1万円の支払い
- 2ヶ月目:1万円の支払い
- 3ヶ月目:1万円の支払い
まぁわかりやすいですよね、これ。
他にも12万円の6回払いなら1ヶ月あたり2万円を6回払うことになるなど、支払い金額を分割回数で割れば毎月の支払い金額がわかる流れ(下記は分割回数とその支払金額の事例)。
- 30万円を10回払い:毎月3万円支払い×10ヶ月
- 45万円を5回払い:毎月9万円支払い×5ヶ月
- 12万円を24回払い:毎月5000円支払い×24ヶ月
カンタンな割り算を行うだけでざっくりとした月額の支払い金額がわかります。難しいことはなにもありません。
分割払いには手数料が別途かかる:
そんな便利な支払手段ではありますが、残念ながら分割払いには金利手数料が別途かかります。
なにせ分割払いは言わば、クレジットカード会社からお金を借りて少しずつ返済していくようなもの。
まだ支払いをしていない残金に対して金利がかかってしまうのは仕組み上、仕方ないところなのです(住宅ローンや自動車ローンと同じ)。前述の3万円を3回払いで払う場合だと、下記のように金利分の負担が別途発生します。
3万円を3回払いで払う場合:
- 1ヶ月目:1万円の支払い+金利
- 2ヶ月目:1万円の支払い+金利
- 3ヶ月目:1万円の支払い+金利
これを図解でまとめるとこんなふうになります(10万円を分割払いした例を紹介)。
この金利負担があるからこそ、お金に余裕がある方は分割払いなんて使わずに他の金利が発生しない支払い方法を使うべき…というのが一般的。
使わなくていいなら分割払いなんて使わないほうが良いのです(クレジットカードで使える支払い方法一覧は下記記事参照)
使えるお店と使えないお店がある:
そんなクレジットカードの分割払いですが、実はすべてのお店で分割払いが使えるわけではありません。
コンビニやスーパーマーケット等では原則として1回払いしか利用できないので、そういったお店で『分割払いを使いたいんだけど?』といっても無理なものは無理(下記はその傾向)。
- コンビニ:分割払いできない
- スーパー:だいたい使えない
- 洋服屋:使える場合が多い
- 本屋:使える場合が多い
- 家電量販店:問題なく使える
- 家具屋:問題なく使える
- 宝石店:問題なく使える
要はお店側が分割払いを許容してくれない限りは使えない点はご注意ください。
あとから分割払いに出来る:
但し、三井住友カードにしろ楽天カードにしろイオンカードにしろ、今や多くのクレジットカードでは「あとから分割払い」といって、1回払いで支払いをした分についてもあとから分割払いに変更可能。
こういった方法を利用すればどのお店でも分割払いが使えるので、お金に困って1回では支払いきれない時は、分割払いへの変更をどうぞ。
それで分割払いが使えるようになりますよ。
2回払いは金利がかからない:
分割払いには金利手数料がかかることは理解してもらえたかと思いますが、同じ分割払いでも2回払いであれば金利手数料は発生しません(詳しくは下記記事を参照)。
例をあげると10万円のものを2回払いで購入した場合でも金利はかからず、5万円+5万円で合計10万円のみでOKってこと。
つまり高額家電やインテリアを購入したいけれども、手元のお金がちょっとだけ足りないなと思う時は、金利のかからない2回払いを活用すればお得なのですね。わざわざ金利がかかる3回払い以上を使う必要はありません。
分割払いで支払える回数と金利負担:
次に分割払いで支払える回数ですが、これはクレジットカード保有者が好きな回数を指定できるわけではなく、カード会社が設定をした回数のみを指定可能。
たとえば『ちょっとお金がないから10年返済の120回払いで!』とか、『縁起がいいから7回払いで!』といった支払い方法は使うことはできません。
では何回払いであれば利用できるのか…は、クレジットカード発行会社ごとにバラバラ。
楽天カードなら3回、5回、6回、10回、12回、15回、18回、20回、24回、30回、36回の11種類の分割回数を指定可能、オリコカードであれば3回、6回、10回、12回、15回、18回、20回、24回の8種類の分割回数が指定可能、MUFGカードであれば3回、5回、6回、10回、12回、15回、18回、20回、24回の9種類の分割回数が指定可能…と、カード会社によって使える回数が違うのでご注意ください。
- 楽天カード:11種類の分割回数指定が可能
- オリコカード:8種類の分割回数指定が可能
- MUFGカード:9種類の分割回数指定が可能
まぁどこもグチャグチャです。
使える回数はほぼ一緒:
ただ概ね、3回払い、6回払い、10回払い、12回払い、24回払いの5種類はどのカード会社でも利用可能。
それゆえ、自分のクレジットカードがどの支払回数に対応しているか調べるのが面倒な方はこのあたりの「無難な支払い回数」を指定すれば大丈夫です。
- 3回払い:どのカードでも利用可能
- 6回払い:どのカードでも利用可能
- 10回払い:どのカードでも利用可能
- 12回払い:どのカードでも利用可能
- 24回払い:どのカードでも利用可能
1年かけて支払っていくつもりなら12回払い、2年かけて返済していきたいなら24回払いを選ぶようにしてもらえればと思います。
分割払いが使えないクレジットカード会社も:
尚、稀にセゾンカードやダイナースクラブカードのように、そもそも分割払い自体が使えない…なんていうクレジットカードもいくつか存在(セゾンカードは2回払いなら可能)。
- セゾンカード:2回払い以外の分割払い不可
- ダイナースクラブカード:分割払いはすべて不可
こういったカードでは何回払いであろうと使えないので、支払いで分割払いを使いたいなら他カード会社発行のクレジットカードを作成ください。
その他のごくごく一般的な、楽天カード、オリコカード、三井住友カード等であれば問題なく分割払いは使えますよ。
分割払いの金利手数料はいくら?:
では、実際に分割払いを使うと、どのくらいの金利手数料が発生するのでしょうか?
こちらについても実はクレジットカードごとに金利は異なりますので、一概にいくら…とは言えません。
ただ2024年現在の状況でいうと、ほぼすべてのクレジットカード会社で似たり寄ったりの金利設定をしているので、どこも大きく手数料がかわることはなし。
楽天カードだから安いとか、イオンカードだから高いといったことは考える必要がないのです。
オリコカードの分割払いを例として提示:
参考までに信販会社大手のオリコカードを例にして、どのくらいの金利手数料が分割払いでは発生するのかを紹介させてもらおうと思います。
支払回数 | 手数料率(%) | 100円あたりの手数料 |
---|---|---|
1回払い | 0% | 0円 |
2回払い | 0% | 0円 |
3回払い | 12.2% | 2.04円 |
6回払い | 13.9% | 4.08円 |
10回払い | 14.6% | 6.8円 |
12回払い | 14.8% | 8.16円 |
15回払い | 14.9% | 10.2円 |
18回払い | 15% | 12.24円 |
20回払い | 15% | 13.6円 |
24回払い | 15% | 16.32円 |
この表を見て「なんだ3回払いでも12.2%もかかるのか…」と思うなかれ。
真ん中の列はあくまで1年間借りっぱなしにした時にかかる手数料なので、実際には右の数字を見たほうがわかりやすい状況があります(3回払いだと3ヶ月で完済してしまうため、1年分の金利は発生しない)。
- 表示されてる年利:12.2%
- 実際にかかる手数料:2.04%
『なんだかよくわからないぞ…』と思われた方のために事例をあげて説明しますね。
たとえばオリコカードで100円の商品を3回払いで購入した場合には、2.04円の手数料が発生する計算になるので返済総額では102.04円の支払いになるってこと。
同様に100円の商品を10回払いした場合には合計で106.8円の返済をすればOKという形になります。
- 100円を3回払いする:総額102.04円の返済
- 100円を10回払いする:総額106.8円の返済
- 100円を24回払いする:総額116.32円の返済
※実際には1回あたりの支払い金額が小さすぎるため、100円の商品は分割払いできません。
支払い総額は簡単に計算できる:
このように表の一番右側にある100円あたりの手数料をチェックすれば、金利がどのくらい発生して返済総額がいくらになるのかがわかりやすいはず。
1万円を分割払いするならその100倍の金利手数料がかかることになりますし、10万円の分割払いなら1,000倍の手数料になる計算です(単位が「円」で書いてはありますが、これをパーセント「%」で考えれば金利計算は簡単)。
- 100円を3回払いする:100円の返済+2.04円の金利負担
- 1万円を3回払いする:1万円の返済+204円の金利負担
- 10万円を3回払いする:10万円の返済+2,040円の金利負担
- 100万円を3回払いする:100万円の返済+2万400円の金利負担
意外と手数料ってかからないものなんだな、そう思った方も多いのではないでしょうか?
支払い金額や回数を変更しても計算方法は同じ:
また、支払い金額や回数を変更した場合の金利負担額についても計算方法は同じ。表の一番右側の数字を見て計算をすれば、必要な金利負担額が計算できます。
- 5万円を10回払いする:5万円の返済+3,400円の金利
- 10万円を24回払いする:10万円の返済+1万6,320円の金利
慣れればそう、難しい計算でもありません。
繰り上げ返済すれば金利発生はもっと減らせる:
今はちょっとお金がないけれども、半年後にはお金が入る予定がある場合などには、分割払い&繰り上げ返済をしてみてはいかがでしょうか?
残念ながら未払い残高が残っているうちには金利手数料が発生してしまいますが、繰り上げ返済をすれば未払い残高が減るために発生する金利を減らすことが可能。
- 繰り上げ返済をしない:手数料が満額かかる
- 繰り上げ返済をする:本来かかる手数料を減らせる
だいたいどのくらいの金利が減るかどうかについては、クレジットカード会社に電話をすればいつでも教えてくれるので是非、分割払いを使っちゃったけれども今はお金に余裕がある時などは相談してみてください。
金利負担をグンと減らすことができますよ。
分割払いの効果的な使い方:
クレジットカードの分割払いの基礎知識や計算方法を紹介させていただいたところで、ここから先は分割払いの効果的な使い方をまとめておきます。
分割払いを使おうと思っている方は参考にどうぞ。
お金に困っていないなら使わない:
分割払いの効果的な使い方、1つ目は元も子もない内容かもしれませんが、極力、分割払いを使わないようにするというものです。
前述のように分割払いは必ず手数料が発生してしまう支払い方法。
不必要に使いすぎてしまうと、その金利負担だけでクビが回らなくなってしまうので、使う必要性がないのであれば分割払いを使わないに越したことはありません。
- お金に困ってない時:使わないのがベスト
- お金に困っている時:分割払いの検討を
※下記図のように2回払いやボーナス1回払いを使うことで金利手数料の発生を抑えるのが賢いやり方。
それでも分割払いを使わなくちゃいけなかったら:
それでも分割払いを使わないといけないくらいにお金に困ってしまった場合には、下記記事を参考に。
こちらの記事では10万円や20万円といった高額品を購入する時に、いかに分割払いやリボ払いを使わずに済ませることが出来るのか…といった点について焦点を当てた記事です。
特にボーナス払いを使った支払いの先送りは効果的なので、最初から金利負担をしないようお気をつけください。
使うなら2回払い、3回払いが基本:
分割払いの効果的な活用方法の2つ目は、利用するにしても2回払いや3回払いのみで済ませてしまう点です。
とりわけ分割2回払いは金利負担ゼロで使えるありがたい支払い方法。
お金に困った時はとにかくこの支払い方法で乗り切れるかどうかを検討してみてください(こちらの記事を参考にすれば2回払いが使えないお店でも2回払いが使える)。
それだけで負担する金利をグッと抑えられます。
3回払いでも実質負担金利は少ない:
また、分割3回払いは金利手数料がかかる支払手段ですが、こちらで負担しなくてはいけない金利はせいぜい2%ちょっと。
楽天カードなどのようなポイントが溜まりやすいクレジットカードを利用すると、支払い金額に対して100円あたり1円分のポイントが貯まるわけですから、差し引き1%分の手数料のみで分割3回払いを使えることになります(金利負担2.04%からポイント獲得分1%を引くと、負担は1.04%となる)。
ここまで来ると1万円の支払いでも100円程度の金利負担のみ。
更に楽天市場等で楽天カードを利用すれば別途、3~4%分のポイントが貰えるので1%負担どころかポイント獲得分を考慮するとプラスになったりもしますよ。
詳しくは下記記事もご覧いただければと思います。
ショッピングクレジットの有無を確認:
分割払いの効果的な使い方、3つ目は分割払いを使わずにショッピングクレジットと呼ばれる支払い方法を使う方法です。
こちらはヤマダ電機やビックカメラなどの家電量販店、そしてルームズ大正堂やニトリといった家具インテリア販売店などなどの、主に高額品を販売しているお店で導入されている分割払い方法のこと(こちらより引用)。
ショッピングクレジットは、電化製品、家具、呉服、衣料品・かばん、宝石・貴金属、オートバイなどの販売に関する購入費用を、ジャックスが加盟店様に立替払いし、その立替払代金をお客様より分割にて回収するクレジットです。
こう書くと『ん?そんなお店が用意している分割払いなんて使わずに、自分のクレジットカードで分割払いをすればいいんじゃないの?』と思われるかもしれませんが、このショッピングクレジット導入しているお店ではだいたいの場合、なんらかの金利優遇キャンペーンを実施する傾向あり。
つまり自分が保有しているクレジットカードで分割払いをするよりも金利負担を減らすことが出来るので、ショッピングクレジット導入店ではそちらを使ったほうがお得になる場合が多いんです。
カメラのキタムラを例に紹介:
実際、カメラのキタムラでは下記のように60回までの分割手数料を負担するキャンペーンを実施中(こちらから転載)。
仮に自分のクレジットカードで60回払いなんてしてしまうと、金利負担だけで軽く30%以上を負担しなくちゃいけなくなることを考えると、なんとお得なキャンペーンなんだ…と思いませんか?
- ショッピングクレジット利用:60回払いでも金利負担0%
- 自分のカードで分割払い:60回払いだと金利30%以上
だったらショッピングクレジットを活用しない手はありませんよね。
是非、高額品を購入する際には店員さんに『ショッピングクレジットは使えますか?』と尋ねてもらえればと思います。
分割払いは使い方次第で化ける:
このように分割払いは回数次第で使える支払手段。
是非、手数料がかかるからといって分割払いを使わないと決め込むのではなく、手元のお金に不安があるなら上手に&計画的に分割払いを使ってもらえればなと思います。
特に2回払いや3回払いなら、家計を助けてくれる良い支払い方法になるはずですよ。
- 分割2回払い:金利負担ゼロ
- 分割3回払い:ポイント獲得を考慮すると金利負担わずか
以上、この機会に覚えたい、クレジットカード分割払いの基礎知識まとめ!お店での支払い方法から、分割払いにかかる金利手数料までを徹底解説…という話題でした。
参考リンク:
分割払い手数料を減らしたいのであれば、ポイント還元率の高いクレジットカードを使うのもひとつの手。
記事中でも書いたようにポイントが多く貰えるなら、その分、実質的な金利負担額を減らせるのでおすすめです(ポイントが貯まりやすいカードは下記参照)。