クレジットカードの読みもの

クレジットカードに関する様々な知識や使い方を「読みもの」として紹介していくサイトです。

スーパーマーケットのレジで預金を引き出せるサービスは、デビットカード利用率の低い日本ではあまり使われなそうだ…という話。

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photo by Alex E. Proimos

スーパーマーケットのレジで預金が引き出せるように、金融庁が規制緩和を検討している…というニュースが入ってきました。

金融庁は、スーパーなどのレジでもキャッシュカードで口座から預金を引き出せるよう規制を緩和する。みずほ銀行などが2017年にもサービスを始める準備をしている。(中略) 

利用者は店員に金額を指定し、ボタンで暗証番号を入力する。レジの現金を受け取り、その分、口座の預金が減る仕組み。

規制緩和される内容を簡単に説明:

なんだか引用部分を読んでもよくわからなかった…という方のために、簡単にどういう規制緩和がされるのか説明します。

これが実現された場合には、例えば10,000円の買い物をスーパーマーケットでした時、店員に対して「5,000円の現金をおろしてください」というと、キャッシュカードから合計1万5,000円が引き出されるようになる…ということ。

わかりやすく箇条書きで流れを説明するとこんな感じです。

  1. 1万円の買い物をした時、店員に5,000円の現金が欲しいと伝える
  2. キャッシュカードで1万5,000円を支払う
  3. そのうち1万円をスーパーでの支払いに回す
  4. 差し引き5,000円が残るので、店員から5,000円を渡される

同様に1万円の現金が欲しいのであれば1万円の買い物と併せて2万円の引き出しを、3万円の現金が欲しいのであれば1万円の買い物と併せて4万円の引き出しを店員に依頼する…というイメージ。

要するにこの規制緩和が実現すれば、支払い金額+手元に現金として欲しい金額を、レジにて預金口座から引きすことが可能になる…と考えればわかりやすいでしょう。活用すれば今後はATMを使わずに、レジで買い物をするだけで預金を下ろすことが出来るようになります。

参考にしているのはアメリカの仕組み:

これ、金融庁が参考にしているのはたぶんアメリカの仕組み。

アメリカではスーパーマーケットやドラッグストアのレジでお金を引き出す消費者が多いため、日本でも導入したら便利になるだろう…という思惑があるのだと思われます。確かにATMが周りにない場所や、買い物ついでに手数料無料で預金を下ろすことが出来たら便利ですからね。

しかし、日本におけるキャッシュカード払い(デビットカード払い)の決済比率はわずか0.2%。VISAデビットカードやJCBデビットカードが徐々に普及してきているため、これらを併せれば0.2%以上にはなるとは思いますが、それでも全体の決済額からすると1%前後がせいぜいです。

そんな中で「スーパーのレジで預金を下ろせるようになりますよ!」という仕組みを作ったところで、利用者数は伸び悩むでしょうし、そういった仕組みを導入する企業側も導入メリットを見いだせないんじゃないかな…と思うのは私だけでしょうか?甚だ、心配になります。

アメリカはデビットカード社会:

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photo by Warriorwriter

ちなみに日本に在住の方からするとなかなか想像が付かないかもしれませんが、アメリカでは銀行のキャッシュカードを使った支払いが一般的。

そのため、スーパーマーケットやドラッグストアのレジでは、店員がすべてのお客さんに対して「何ドル必要?」みたいな声をかけてくるのも普通で、多くの方にとってこの「レジをATM代わりにする行為」は非常によく利用されています(アメリカ在住時は私もよく使ってました)。

防犯意識の高いアメリカだからこそのサービス:

しかしこの背景には、アメリカではATMを利用している姿を見られると犯罪に巻き込まれる警戒感があることや、100ドル紙幣(日本円にして1万円程度)を持ち歩かずに20ドル札(2000円札のようなもの)を常に補充しつつ持ち歩くことなどが影響してそうな感じ。

つまりアメリカだからこそ利用者が多いサービスなだけであって、アメリカ同様に日本でも導入したら使う人が増えるだろう…というのは、安易な発想だと思えてしまうんですよね。もちろん導入されてみないとわかりませんが、規制緩和をしたからといってデビットカード払いが劇的に増えるとも思えないので、金融庁にはもっと違う内容の規制緩和をお願いしたいなーと思います*1

以上、スーパーマーケットのレジで預金を引き出せるサービスは、デビットカード利用率の低い日本ではあまり使われなそう…という話でした。

尚、日本においてデビットカード払いを普及させるためには、クレジットカード払いと同等のポイントが得られる仕組みを作らないとダメかもです。特に日本だと金利手数料のかからない一括払いがクレジットカードで使えるというのもありますね(アメリカの場合はクレジットカード=リボ払い専用カードであることが多いため、キャッシュレスの支払いをするために多くの国民がデビットカード払いをしている)。

追記:朝日新聞の記事をよく読んでみると

朝日新聞の記事をよく読んでみたのですが、もしかするとアメリカの仕組み(デビットカード払い+現金受け取り)とは異なり、買い物関係なしにスーパーのレジをただのATM代わりにする…という話かもしれません。

仮にこっちだけの規制緩和になる場合にはスーパーのレジに並んでいる別のお客さんにとって迷惑なだけなので、導入する意義も意味もわからなくなります。また、クロネコヤマトや佐川急便の人が、無駄に現金を持ち歩かなくてはいけなくなる危険性も出てきそうです。

参考リンク:

クレジットカード払いとデビットカード払いの仕組みがよくわからない…という方は、下記記事も参考にどうぞ。クレジットカード払いの仕組みが理解できます。

cards.hateblo.jp 

*1:規制緩和されたら当サイトでも『ATM手数料を無料にできる方法!』みたいな記事を書くとは思いますけどね(苦笑)。しかし、現金をそれほど多く持ち歩いていない宅配業者やタクシーなどで、「デビットカードで支払うから現金を3万円くれ!」みたいな利用者が出てきたらどーするのか、そういうところも気になります。

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