クレジットカードの読みもの

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改正貸金業法で定められた上限金利が、今後、引き上げられる可能性アリ!金利規制緩和の背景とその問題点をまとめてみました。

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自民党がどうやら改正貸金業法の上限金利緩和に動き始めるようです(日経新聞のニュースより一部引用)。

自民党は貸金業者に対する金利規制の緩和を検討する。健全経営だと認可された貸金業者に限り、顧客から受け取れる金利の上限を現在の20%から、2010年まで適用していた29.2%に戻す方向だ。銀行融資を受けにくい中小零細企業などが、消費者金融から借り入れやすくする狙いがある。 

もとより自民党は2012年の選挙公約として小口金融市場の活性化を掲げていたので、今回のニュースはそれを実行するための動き…ということも出来そうですね(自民党の資料はこちら)。

2006年12月の改正貸金業法の成立、2010年6月の同法の完全施行という一連の流れの中で、市場の収縮・マクロ経済への悪影響、新種のヤミ金の暗躍、返済困難者の放置といった様々な影響が顕在化しています。そのため、上限金利規制、総量規制といった小口金融市場に対する過剰な規制を見直すことによって利用者の利便性を確保します。同時に、多重債務者に対する支援体制を強化するとともに、ヤミ金融業者の摘発強化、適正業者の育成を図り、健全な借り手と健全な貸し手による適正な規模の小口金融市場の実現と真の返済困難者の救済を目指します」(自民党選挙公約『Jファイル2012』より)

今日はちょっと専門的な内容なので、業界の背景に詳しくない方が読んでもチンプンカンプンかもしれません。

散々苦しめられた消費者金融へのお詫びか?

この動き、個人的には小口金融活性化に加え、徹底的に過払い金返還請求によって苦しめられたクレジットカード会社や消費者金融への、言わば、お詫びに近い法改正(救済策)でもあるんじゃないかな…と個人的に思う私。

まぁ弁護士や司法書士の方にこんなことを言ったら怒られるかもしれませんが、 上限29.2%っていうのは金融庁がずっと、違法性を指摘もせずに放置してきた金利でしたからね。それが最高裁によってクルッとひっくり返され、『悪いのは全部、貸金業だから取り過ぎた金利は返しなさい』となってしまったのは、金融庁としても正直、バツが悪い状況があったのではないでしょうか?*1

結果はみなさんご存知の通り、バブルとも言える過払い金返還請求という弁護士ビジネスが生まれ、武富士や商工ファンドの破綻に。どうにか生き残ったアコムやプロミスなども、メガバンクの支援がなければとっくに潰れてしまっていたことでしょう。

ちなみにそれを不服として国を訴えた消費者金融も実在しますよ。

元貸金業者のユニワード(盛岡市)が、利用者の過払い金返還請求をめぐり、国を相手に約3億円の賠償を求める裁判を4月30日に起こしたと、8日付の日本経済新聞朝刊が報じた。法令や行政指導に従っていたにもかかわらず、返還請求で損失を被ったのは不当だと訴えているという。過払い金返還での業者の国家賠償請求は初めてで、大手消費者金融も追随する可能性があると報じている。

貸金業法を緩和して監視を強化できる?

ではどのように貸金業法が再改正されるのかというと、上限金利を現状の20%から条件付きで29.2%に戻そうというものになりそう。

この、「無条件ではなく条件付きでの29.2%」という点あたりは少し面白くて、仮に改正されれば、消費者金融やクレジットカード会社をより強く縛る…という意味でも面白い改正になるんじゃないかな?と思いますね。

だってちょっとでも違法な取り立てでもしようものなら、『お前のところの上限金利を20%に戻してしまうぞ!』と金融庁は脅せるわけです。そして消費者金融側も29.2%というご馳走を得るために、必至になってコンプライアンスを守ることでしょう(無理な貸出や強引な取立をしたら即、20%の上限に戻すなどの規制が作れれば、昔のような問題再発も防げる)。

貸金業法には穴がある:

http://www.flickr.com/photos/34838158@N00/533013526

photo by alexkess

とはいえ、貸金業法には大きな穴があるので、上限金利の緩和とかは実はあんまり意味がないのかもしれません。

それは貸金業法はあくまで消費者金融やクレジットカード会社などのノンバンクを規制する法律で、銀行の名前でお金を貸す分には貸金業法による規制は関係ない点

実際、新生銀行がその穴を使って、銀行の名前で消費者金融業を行っているくらいです(長文引用すいません)。

「わざわざ法律まで変えて業界全体で痛みを分け合って耐えてきたのに、今までの苦労はいったい何だったんだ──」

大手消費者金融首脳は憤りを隠せない。なぜなら、競合する中堅消費者金融会社のレイクが、10月1日から新生銀行の傘下で消費者金融事業の展開を始めたからだ。これまでレイクは新生銀行グループの新生フィナンシャルが運営し、改正貸金業法下で事業を行っていた。それが銀行業法下での事業展開となる。

消費者金融業界は改正貸金業法施行で、総量規制などの“足かせ”をはめられた状況で事業を行ってきた。ところが銀行業法下になると、それが取れる。レイクはプロミス、アコム、アイフルなどの消費者金融とは競争条件が変わるのだ。そのため、業界内からはレイクに対する怨嗟と羨望の声がわき上がっている。

レイクが解放される足かせの代表的なものが総量規制だ。総量規制とは年収の3分の1を超える貸し付けを禁止している。たとえば先に挙げた大手消費者金融で借金し、債務残高が年収の3分の1を超えると、追加の借金はどこの消費者金融でも法律で禁止される。しかし、レイクでは法律上、追加の借金が可能になる。 

 あくまで動きなのでどうなることやら:

あくまで今回のニュースは、自民党内で国会に提出する案を作ろう…というものだけの話なので、今後、どうなるかはわかりません。ブックマークコメントにあるように、再改正自体に反対する方も多いはずなので、成立するとしても時間はかかるでしょう。

以上、改正貸金業法で定められた上限金利が、今後、引き上げられる可能性アリ!金利規制緩和の背景とその問題点をまとめてみました…という話題でした。引き続き当サイト『クレジットカードの読みもの』ではその動向をチェックしていきたいと思います。

文末リンク:

結局、貸金業法が厳しくなりすぎたせいか、この後、消費者金融の貸出よりも銀行のカードローン残高のほうが増えてしまうという結果に。規制をすれば規制の穴を付くのはビジネスの基本かもですが、なんだかなぁ…という感じです。

news.cardmics.com

*1:当時は「調子にのっていた消費者金融を懲らしめる判例だ」…なんて言われてもいました。

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